第524話 断固たる決意
ヒビキは、今まで一度として自分のスキルを知らなかったため、あると知って驚いていた。
「ぼく?
僕のスキルですか?もしかして、なんかすっごいのを持ってるんですか?」
シューリンが勘違いしているヒビキに対し一笑し真実を伝えた。
「いや、おぬしが居間もっているのは、わしが付与した好意しかスキルはもってない」
「き、期待したのに。
ないじゃないですか」
ヒビキは恥ずかしさの余り顔が赤くなっていたのを自分自身で気づいていた。
「勘違いしてるかもしれんのじゃが、
最初からなかったわけじゃないのじゃ」
自分の勘違いではなく、恥ずかしさを隠すため話にのってみることにした。
「ど、どういうことですか?
僕は、やっぱりすっごいスキルをもってるんでしょ?」
少し呆れたシューリンではあったが、彼がもっていたスキルを思い出すとそう外れたものではないと思っていた。
「ふふ。
おぬしのスキルは、過去未来全てできごとを、自分の願い通りに改変する力じゃ。
その力は、未来を見ることが儂でも何がどのように改変されたのか、判らないほど不可思議なものじゃゃ」
「シューリン様、管理者でも判らないなんて……
きっと、すっごいすきるなんですね。
といっても、僕じゃどこで役にたってるか、判断なんてできないじゃないですか」
「そうでもないぞ。
もし、儂にあったときに大陸の呪いといてほしいと願えば、その通りになってはいたが、
その後の冒険で、ユキナとスズネは石のままで、救われなかっただろうし、嵐にまきこまれなくて王女のヘルプに入れなかったじゃろう」
「そうかもしれないですね。
なんかぴんとこないです」
「それによっては、いまのように戦闘をこなすこともできなかったじゃろう」
「おっしゃる通りです……けど……」
「だから、あの時に習ってなければ、コモイラージ大陸を救うことはできなかったじゃろう」
「確かにそう……かもしれません」
それでも、ヒビキにはまるでぴんとくるところがなかった。
「じゃろう、まるで分らんじゃろう
だから、どこまでお主のスキルが反映されているのか誰にもわからんのじゃ」
「じゃ、このシューリン様に会っているのも?」
「多分、そうじゃろう。
わしの未来予想では、お主の親友にたおされる未来はなかったはずじゃが……
今は、この後、おぬしの親友に儂は倒される未来しかないのじゃ」
ヒビキは、シューリンを失うことをゆるすことができず、このまま運命の通りにいくことなど信じたくなかった。
「ぼ、僕は、そんな予想を信じません。
絶対、そんなことは、させません」
「だが、予想は正確じゃ。
ここに連れてきたのも、会った時に判っていて、その未来にしたがったまでじゃ」
「そうなんですか。
ですけど、どうにか……
どうにかできないんですか」
「あきらめるのじゃ。
そして、儂のこの管理者の権限もおぬしに先に渡したいのじゃ」
そんなシューリンの希望も、諦めないことをスズネからうけついだことで納得しなかった。
「僕はぜったいあきらめません。
なにか策があるはずです!」
「さてのぉ。
だが、この大陸のためじゃ、
我慢してくれ」
「おぬしの言い分はありがたいが、こ0のままでは先にすすみそうになさそうじゃな。
では、一部だけでも、引き受けておいてくれ。
この大陸の命運がかかってるのじゃ、
したがってもらうのじゃ」
「わかりました。
ですが、絶対、たすけてみせます!」
「うむ、お主の決意はありがたいのじゃ。
権限を半分おぬしに委譲するで手をうつのじゃ」
「判りました」
シューリンが、手をヒビキにかざすとヒビキの体に何かが流れ込むイメージが拡がっていき色々とやれることが増えていくこと判った。
「未来予想は、出来ないんですね」
「それは、儂のスキルの一環じゃからな。
だが、おぬしもスキルを付与したり減らしたりすることができるじゃろう」
「だったら、ユウスケにも削ることができるんじゃないの?」
「違法ログイン者は別じゃ。
こちらの管理から逃れてるからな、手が出せんのじゃ」
「そうなんですね。
でも、僕はユウスケを止めて、世界が崩壊するのを防ぎます!!」
ヒビキの覚悟を喜ぶとシューリンは、戦いの場へいく決意を固めた。
「ふふ、おぬしがどこまでできるか、
楽しみにしてるのじゃ、
では、さらばじゃ!」
「はい、あとで会いましょう!」
シューリンが別れの挨拶をすると真っ暗だった部屋に一瞬で戻り、元の扉をヒビキがだして扉をあけると、朝日溢れる景色へと変わって行った。




