第513話 どんどん登ってみよう
3人が居なくなったをみたのか、カリナは大部屋の壁をけしフロアの外壁以外の全ての壁を消すとこちらへ近づいてきた。
「いろいろと大変だったでありんすね」
「そうだね。
でも、なんとかうまくダンジョンから帰せたよ」
「いいことをしたんだよ、
あのままだったら、全滅だったしね」
「そうだね。
じゃ、カリナ。
この魔法陣けしといて♪」
「え、魔法陣もでありんすか……」
カリナはしぶしぶ言われた通りに、魔法陣をけすと近くに上段へとあがる階段を移動させた。
「ありがとう、カリナ」
「もう、ダンジョンじゃなくなってるでありんす……」
渋い顔のカリナに明るく声を掛け、肩を叩いた。
「考えすぎだよ、カリナ。
さぁ、先を行こうよ!」
「そうでありんすかね」
「そうだよ♪」
僕を先頭に階段を上がり6階7階8階へと到達して同じように冒険者もいなく問題なくあがっていくと、9階でカリナが僕の歩みをとめた。
「ここに冒険者がいるでありんす。
今回も交渉でどうにかするでありんすか?」
深夜だというのにまだ戦う人たちがいるんだねぇ。
僕は一考し同様の手順で行っていくと時間がたりなくなることを懸念した。
「冒険者を外に出すことはできるの?」
「できるでありんすよ。
魔法陣を使った時と同じようにできるでありんす」
「う~ん、冒険者が休んでいるならそうしてほしいかな。
やっぱり、交渉は疲れるよ」
「わかったでありんす」
彼女は、鉄扇を大きく一振りすると、壁を失くし魔物を消し去った。そこには、ぽつんと取り残された冒険者一行だけがのこった。
その冒険者も、彼女が一振りすると姿がきえさったが、一行はこちらを見ていたような気がした。
「なんか、見られた気がするよ。
見られないようにできなかったの?」
「そうでありんすか、気のせいでありんすよ」
彼女は、にやにやしながら階段を近くに作り出すと、僕を見ずに上がっていった。
絶対わざとだな。
ダンジョンからでた時に文句を言われるように敢えて発見させたにちがいない。
だが、この作戦は彼女が決め手であるがゆえ、きつく咎めるわけにはいかなかった。
「まぁ、いいよ。
10階はどう?いそう?」
「ここは居ないでありんすね。
深夜でありんすし、低階層はそう混んでないでありんす。
この後の20階層付近から、少しづつ増えていくでありんす」
ユキナが、歩きながら疑問を口にしていた。
「今から外に飛ばすことはできないの?」
「できるでありんすよ」
「まとめて一気に外にだすと、下でまとまって、何事かとなちゃいそうだから、
少しづづつのほうがいいかなと思う」
「ヒビキ様に従うでありんす♪」
「ありがとう、カリナ」
カリナは、僕のお礼で少し気分を良くしたのか、さっきよりも態度を軟化させていた。




