第508話 塔のてっぺんに行ってみよう
すべての話を聞いて、カリナが納得したか、悟ったかのようの口を開いた。
「そうでありんすか。
内部揉めででありんすか」
「そんな話だったね。
でも、より強敵になったんじゃないの?」
「そうよね。
ヒビキ、あんな作戦でうまくいくの?」
「た、たぶんうまくいくよ。
話し合っても、先に進まないし、
そろそろ塔に向かうよ」
「わかったわ。
信じてあげるわよ」
全員は、僕の号令に従うように席を立つと、塔のあるほうへ歩き始めた。
少し歩き塔への入口が見えて来ると、深夜だというのに、それなりの人間が冒険を終了し町の中へと帰って行っていた。
「じゃ、みんなで屋上にいくよ」
「ねぇ、カリナ。
塀の外に魔法陣作れない?」
「できるでありんすよ。
塀を少しへこまして、町と隣接させるように魔法陣を作ればできるでありんす」
「そんなことをして、何になるんだ?ヒビキ」
「塔の中を冒険者も魔物も空にしようかと思って」
「話を聞いても、なんだか、良く分からないわね」
「まぁ、言われた通りヒビキ様の言う通りにするでありんす」
彼女は塔の真正面に立つと、両手を掲げると、大きく囲んであった塀の一部が徐々にくぼんでいくと魔法陣が一つできあがった。
早速、数人が魔法陣からダンジョンへと帰ってくるとすこし困惑しているようだった。
「あ、あれ、ここだったっけ?」
「なんで、町の中なんだ」
「まぁ、近くなったんだから、いいんじゃない?」
「「そうだな、早く飲みに行こうぜ」
3人の冒険者は、一瞬困惑したようだったが話しながら納得したようで酒場のあるとおりへと消えていった。
「どうやら、納得してくれるようだな」
「だね、これなら大丈夫そうだね、
さて、じゃ、カリナ、屋上までおねがい」
「了解でありんす」
彼女は魔法陣の中央に立つと全員が彼女の体の一部に触れた。リイナもアメリアもいやいやながら体に障りカリナは勝ちほこった表情を浮かべると魔法を唱えた。
「帰還」
彼女が魔法を唱え終わると光り輝き、同時に視界がゆがんでいうくと、ゆがみが終わったときには、見覚えのない風景が続いていた。
それは、周囲の足元に雲海が拡がり真っ暗な風景の上空では満天の星空が拡がてっていた。奥には大きな城が一つだけあろ、多くのあかりでライトアップされ、幻想的でもあったが魔王の城だと思うと不気味に佇んでいた。
「あれでありんす。
目的の二人がどこにいるか判るでありんす。
あと、さっき話していたであろう敵もどこにいるか判るでありんすよ」
「流石カリナだね。
とても助かるね」
ユキナが褒めてる間、二人の女性はとても渋い表情を見せていた。
「魔王様とスズネの所へ、案内してくれる?
敵に見つからないように、お願い」
「簡単でありんす。
どうやら、逃げる時は十人以上いた敵も、さっき、話にでたヨシワラという人と、二人を捉えている女性しかいないようでありんす」
「きっと、また仲間割れしたんだよ。
あのリーダーいい人そうだったし、慕われてたから反感を買ったんだよ」
「そうでありんすかねぁ……
あちきには、まったくわからないでありんすが……」
彼女は、玄関の扉へ僕らを誘導せず、城の壁の端までいくと何もなかった壁に小さな扉を作った。
「こっから、中庭に入って行くでありんす。
中庭の先で全員がいるでありんす」
「わかった。
みんな、こっからは静かにばれないように行こう」
静かにみんながうなづくとカリナを先頭に小さく屈みながら進んで行った。




