第505話 親友から話を聞いてみよう
僕は、目が覚めると飲食店のテラスで突っ伏して眠っていた。隣では、僕が気を失う前に声を掛けていた彼が食事をとっていた。
「お、目が覚めたな。
かっちゃん、大丈夫か?
ポーションはかけたから回復してるはずだが……」
彼は、僕に声を掛けながら大きな椀にはいった麺料理をずるずるといいながら食べていた。
「うん、体は大丈夫だけど……
はっ。みんなは?
みんなは、大丈夫なの?」
「あぁ、かっちゃんの仲間か、ひどい状態だったが、全員無事だ。
隣で意識を失くしてはいるが、そのうち目が覚めるだろう」
彼が向けた視線の先では、女性四人が長方形のテーブルに4人が突っ伏してもたれかかっていた。そのどれも、苦悶の表情を浮かべておらず気持ちよさげに眠っていることで、僕は少し安堵した。
「はは、全員ここに運ぶのは大変だったんだぞ。
みんな美人だからな、かっちゃんとは、思えないな。
かっちゃんが、美女を引き連れて旅なんて。
昔の仲間がきいたら信じてくれないだろう」
「な、なりゆきだよ。
た、助けてくれてありがとう。
僕は、君の知り合い、なのかい?
君のこと、全く知らないし……」
「しかたないな。
ここに来た時に過去の情報には、アクセスできないしな」
「過去?」
「あぁ、
知らないことを気にしても仕方ないさ、
でも、二人で、一緒に神を倒した時は最高だった。
周りから英雄扱いだったし、あの時がピークだったな」
「ぼ、僕も、一緒に君と戦ったの?」
「サポータとしてな。
戦略・戦術や攻略は全てかっちゃんまかせだったな。
毎回適切で、他の解放戦線のメンバーに羨ましがられてたな」
「僕って優秀だったんだ」
「そうさ!
だから居なくなって、今回もはやかったけど、
前回の攻略どおりに、となりの大陸を最短で攻略できたと思ったのに……
隣の大陸を一人で、攻略したかっちゃんには勝てなかったな」
「攻略?隣の大陸?」
「その右腕に4っつ印があるだろ。
ララ姉ぇに聞いたよ。
一緒に温泉に入って背中を流してもらったんだって。
うらやましい奴め!」
「や、ややや。
あの女性がララさんっていうの?」
「そうさ。
俺が忙しかったからララ姉ぇに確認してもらったんだ。
かっちゃんは、昔から年上に人気だったからなぁ。
本人は興味なさげだにクールに話してたけどね」
「そうなの」
「まぁ、聞きたいことが山のようにあるだろうけど、
先に、俺の用事を優先させて貰うよ。
その後、なんでも答えてあげるから。
ちょっと腕を見せて」
「え、あぁ、うん」
僕は、言われたとおり腕を見せると、彼は自分の腕を近づけると、やがて彼の腕に同じマークが浮かび上がってきた。
「なんなの、これ?」
「そういや、知らないんだっけ。
魔王の証をコピーするスキルさ。
かっちゃんのアイデアで、これだったら、
自分で攻略しないでも他の魔王とも戦わずに済むだろ」
「でも、僕は魔王を倒してないよ」
「そこが、目の付け所だよな。
倒さなきゃ、駄目かと思ってたよ、みんな。
まぁ、俺は強い奴と戦って勝つのが楽しみだから、どっちでもいいさ今は。
向こうの大陸でも、攻略を手伝うって条件で、セキさんを説得できたしな」
「なんだか、よく分からないんだけど、協力できたなら、
いいのかな?」
「そうそう、そう思ってていいさ。
そういや、スズネちゃんを助けるんだっけ。
ちょっと、意識を失くす前と事情が変わったぞ」
「うん、スズネを助けるんだよ。
なんか事情がかわったの?
でも、あのセキさん?
強すぎて倒せないよ」
「もう、セキさんを倒さなくてもいいんだ、倒されたから。
君が倒すべきは、あいつだ、あいつ」
「えっ!!
どういうこと?」
僕は、何がなんだかわからず、茫然としていると彼はにやりと口角をあげ僕が倒れた後の話を始めた。




