第504話 最強に挑んでみよう
彼は、呆れたような表情になると、小さく声をだした。
「ほんとにやるかねぇ」
「そうよ、カミキ君。
もういいでしょ。そこの悪魔とは、会ったばっかりなんでしょ?」
「そうですが、
僕は、自分に頼られた手を払うことなどできない!」
「変わったな、カミキ君。
昔の君はもっとクールだったのに」
「本来のカミキ君は、熱い子なのかしら……」
僕はその間も魔法のイメージを固め始めると、一気に魔法を唱え始めた。
「僕は、あきらめない!
そして、彼女も救ってみせる!!
魔王呪殺掌!!」
彼の下に魔法陣が現れゆっくりとした呪いの手が、彼を掴むと慌てる様子もなく、彼は後ろを振り向いた。
「キシマ、スキルを頼む!」
「了解です、セキさん」
彼女が、魔法陣に手を翳すと彼を中心に大きな円ができ魔法陣と紫色の手は消え去った。ほんの少しだけ浮かんでいた彼は、地面へとゆっくりと降りて行った。
「な、なにが?
なにがおきたんだ」
「私のスキルよ。
その円の中は、スキルや魔法、アイテムの効果がなくなったり使えなくなるのよ、私以外は」
「キシマ。
敵に情報を伝えなくてもいいだろ」
「カミキ君は、敵じゃないわ。
絶対、話せばわかってくれる……って、信じてるわ」
「気持ちはわかるが、今は敵だ。
ふふ、カミキ君は年上の女性に人気だったな」
「もう!セキさん!!」
「はは、すまんすまん。
さぁ、カミキ君、その悪魔を守りたいなら、本気で向かってきなさい」
彼は、余裕の表情で僕を見ているが、後ろの女性は結末が判って直視しづらいのか、視線を外していた。
僕は、何度となく黒赤剣を振り回し空撃により、ダメージを刻んだ。トロールを楽に切断するであろうダメージを何度となく彼を切り刻んだが、彼へのダメージは効いてる様子はなく僕の攻撃を風が来る感じで受けていた。
それでも、諦めずに半刻ほど一心不乱で振り回し続けていたことで、疲労がたまり肩で息をしていた。
「はぁはぁ」
「そろそろ、頃合いかな」
僕は、最後の力を振り絞り最初に学んだ技を解き放った
「スズネ 突撃一!」
僕の全力の一撃を胸で受け止めると、首筋に鈍い痛みがくると彼の死元に勢いよく吹っ飛び、悶絶していた。
「なかなか、いい一撃だったな。
薄皮一枚は傷ついたかな」
僕が薄れゆき意識のなか、一人の男のシルエットが近寄ってきた。
「かっちゃん、ナイスファイト!
あとは、俺に任せて、ゆっくり休んでくれ」
「オギハラ君、どうする気だ」
「ここは……」
僕は、最後まで彼の言葉を聞くことができないまま、僕の意識は刈り取られた。




