第501話 軍団と対峙してみよう
アメリアは、雲に隠れた塔を見ながら、目の上に手をあてると、
「それにしても、あの塔はでかいな。
町も広いし、思ったよりも遠いな」
「そうね、それにあの高さ!
これの攻略には、時間がかかりそうだわ」
リイナも、納得したのか眩しそうに塔を見ていた。
「でも、攻略なんて必要ないでしょ、
カリナがいれば」
「そうでありんす。
あちきが、さくっと頂上まで連れて行くでありんす」
彼女は、喜々として先導し町を案内してくれながら、海のほうへと誘導してくれていった。それでも町の中だけでも、一刻程あるいても目的の場所に近づいているのか判らなかった。
「さぁ、こっちでありんす」
彼女が指さした先には、塀が分かれており内部へと入れるようになっているようだった。その先では、続々と冒険者たちが中へとでは吸い込まれていった。
あの様子ようだと、かなりの人気がある塔なんだろうな。
「すごい人気だね」
「そうね、
ジルのダンジョンも人気だったけど、こっちのほうがすごいわね」
「ほーほっほ。
そりゃそうでしょ。
あちきの魔王様は、一番でありんすから」
「そんな魔王もわたしが討伐してあげるわ」
「もう、リイナ間もなく到着なんだから、
こんなとこで、揉めないでよ」
僕は、相手のカリナを見たが、先に行っている彼女の表情は普段の柔らかな感じから、冷たい無表情へと変わっていた。
僕らも様子が変わった彼女の傍まで来ると、彼女の先には4人の男女が見構えていた。正面にいる50代の冒険者がリーダのようで、後ろの若い女性二人を従えていた。最後の一人は、更に若く僕と同年代のようだが、やる気がなさそうに欠伸をしながらこちらをちらりとみていた。
一人の女性が年配の彼に話しかけていた。その声は、それほど離れていない僕らにも聞こえてきていた。
「リーダー、言ってた通りカミキ君ですね」
「そうだな。残念なことだ。
あんなことがあったから、無理もないかもしれんが残念だ」
「ですよねぇ。
内部でも心無い批判がありましたし……」
「あぁ。
そのせいで……
私たちがもっと批判の的になって代って上げれていたら……」
3人の会話を遮るように若い子は、つまらなそうにつぶやいた。
「ふぁぁ~
そんな昔話どうでもよくありません?
そっちの魔王候補を捕獲しにきたんでしょ?」
「あぁ、そうだな。
だが、カミキ君の妹も預かってるからな」
「どうせ、後数日の命でしょ、みんな死ぬんだから」
「そんな、見も蓋もないこといわないでよ。
ヨシハラ君は、ホント、そういうとこあるよね」
「しかたないわよ、
最近加入したばっかりだしね」
「もう、いいでしょ。
戻りましょうよ。
あんなのぱっぱっと倒しちゃって」
「だがなぁ、
カミキ君に手を出すわけにはいかないな。
話で解決できたらいいんだが……」
彼らの声が最後まで大きめで会話していたせいで、僕たちは、全ての声が聞こえていた。もしかしたら、聞こえさせたかったのかもしれないが、心の中までは判らなかった。




