第5話 ファイヤーボールを当ててみよう
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だが、大きな問題がある。
〈リイナ様、ぼくは火の玉を撃ったことが
ありませんが、どうしたらよいでしょう〉
〈はぁ?まぁ、いいわ。
1から教えてあげるわ。
イメージよ、イメージするの。火の玉が相手に飛んでいくのを。
呪い文とかあるけど、要は、イメージとタイミングよ。
体は、わたしの体なんだから、絶対、できるはず〉
自信満々に、要領を得ない話をしだした。
とりあえず、イメージが具体化したらいいのかな。
具体的に表現できたら、火の玉って言えば、いいのかな。
とても、不安だ。
〈一回どこかで練習したい〉
〈何いってるの、敵が近くにいるのに、練習なんてしてる場合じゃないわ。
一発本番よ!〉
自分は簡単にできるからと思って、さっくりいってくれる。
とはいえ、敵は近くにいるし。やったら、結構簡単にいくのかな。
まずは、相手を見るため、静かに扉をあけ、奥をこっそり覗く。
確かに、猪面でがたいはいい。そこそこ短足だな。
目が真っ赤に光ってて、ちょー怖い。
目をつむり、相手を見ないようにしながら、相手が動く音だけは聞きもらさないようにしてっと。
顔の前に火の玉をイメージ、イメージと。
少しづつ火の玉を大きくしていき、頭くらいの大きさをイメージ。
確かに、イメージが進むにつれて、
体から、力が抜けて行っている気がする。
これが魔力を使う感じなのかな。
よし、火の玉がオークにぶつかるイメージができた。
〈くらえ!火玉!!〉
掛け声の大きさとはうらはらに、放たれたのはイメージとはかけ離れたビー玉サイズの火の玉が、オークに飛んでいった。
〈〈ちいっさ〉〉
僕とリイナは、あまりの小ささに口をあけて、驚いた。
僕の掛け声のせいで、存在に気が付いたオークは、こちらにどたどたと向かってくる。
やばい、このままでは、
殺されてしまう。
全力で、真後ろの茂みに向かって走り始めた。
オークもこちらに向かってきてる、先ほどよりも早くなってる気がする。
オークが、最初に全力で追ってこなかったため、
少し差がひらいた。
そんなことを知る由もしないその時の僕は、
密林の中を全力でかけ続けた。