第498話 カリナを紹介を聞いてみよう
彼女が悩まし気な微笑みを浮かべると拡げた羽をしまい僕らから一歩下がった。
「自己紹介がまだでありんした。
そちらのシスター様には、以前お会いした際にさせてもらったでありんす」
「そうだね。
その時も、困ってたよね」
「そうでありんしたね。
少し話が逸れたでありんす。
改めまして、わちしは、カリナ・キジムナでありんす。
悪魔で次期魔王候補でありんす。
都市や塔の権限をいくつか実施できるでありんす」
「悪魔で次期魔王候補なんだね。
次期魔王候補だと、そういうことができるんだね、知らなかったよ。
で、僕がヒビキで。こっちが……」
「ヒビキ様だけで、結構でありんす」
彼女は嬉し気に横にくると、豊満な胸を押し付けて、腕に絡んできた。
「お願いでありんすぅ♪
あちしと一緒に行って救って欲しいでありんす♪」
「判ったから、そこの蝙蝠さっさとヒビキから離れなさい」
リイナが強引に僕の腕とカリナを引きはがそうと躍起になってるなか、アメリアはバックから片手剣を取り出していた。
「そうだ。
蝙蝠め!滅してやる!!」
アメリアが剣を抜いてとびかかろうとしてるところをユキナが腰の辺りに抱き着き止めていた。
「ふたりとも、
いや、三人とも止めなよ、もう」
それでも、カリナのほうが力が上なのか、必死のリイナが剥がしている中でもまだぴったりと苦ついていた。
「嫌でありんす♪
さぁ、こっちでありんす♪」
彼女は、暴れるアメリアと止めてくれている一人を置いて、僕を腕を引っ張って先へと進んで行った。
「もう、カリナ。
引っ張らなくてもいいよ」
「ふふふ、こっちでありんす」
僕が腕組を辞めさせるとこんどは手を握り引っ張っていった。その様子を苦々しく見ていたリイナは、助走をとって、走りこんできた。
「えい!」
「イタッ」
リイナは、手刀で手つなぎを辞めさせると、先ほどまでカリナがいた僕の腕へとくっついてきた。
「歩きにくいって」
「だめよ。
あの蝙蝠を寄せ付けないためよ」
「邪魔でありんすよ、たいらさん」
「あん、なんだって!」
リイナが腕組をやめ、二人が僕の後ろでにらみ合ってるうちに隣には、ユキナとアメリアが来ていた。
道が一直線で目印の塔がみえるのだけは、迷子にならなくてよかったよ。
「二人とも、置いてくよ」
「あぁ、さらばだ」
二人は、少しだけいがみあっていたが、僕の声で我に返ると二人揃って急いで走ってやってきた。
「二人、はなれなさい」
「そうでありんす!
その殿方はあちきのものでありんす」
「そんなわけないでしょ。
ヒビキはわたしが見つけてきたのよ」
「今は、あちきの魅力でめろめろでありんす、ふふん」
彼女は、自慢の胸を強調すると、上目づかいでリイナを小馬鹿にしていた。
「はぁ~」
大きなため息の後、この道中が一刻もはやく終わってほしいと願わずにはいられなかった。




