第497話 3人の諍いを止めてみよう
リイナとアメリアは、敵意を見せたまま呆れたような表情をすると
「そんなあざとい真似しなくても、
すぅちゃんは、助けるわよ。
魔王は討伐するけどね」
「そうだな、
お前も含めて討伐するがな」
彼女は、二人の挑発に臆することなく、彼女は二人を相手にせず悲しそうな表情のまま僕に訴えてきた。
「あちきのことはどうとでもしてくれていいでありんす。
ですが、勇者様と魔王様だけは、お救いしてしてほしいでありんす」
僕の手を握り顔元を近づけて懇願してくる姿に、嘘があるようにはみえなかった。
膝間づいていた彼女手を強く握るとその場に立たせてから、後ろにいる美女の二人に、諫めるように注意した。
「二人とも、そんなに敵意を見せなくてもいいじゃないか。
彼女に協力してあげようよ。
僕たちもスズネを助けに来たんだし」
二人の鬼女は、ぼくの後ろを指さすと、
「ヒビキ、後ろを見て、あっかんべーしてるわよ」
「そうだ、ウソ泣きだ。
あいつは、悪魔なんだ」
「そんなわけないでしょ」
僕は、後ろを振り返ると、胸元をアピールしている美女は、今にも崩れそうに体を小さくして悲しそうな表情を浮かべていた。
「ほら、みてみなよ。
こんなに小さくなって、かわいそうに……
怖い思いをしたんだって」
僕は、後ろを振り返って二人に更に文句をいうと、2人も反論してきた。
「だから、後ろよ!
両手を頭の上で手を開いて、馬鹿にしてるわ」
「そうだ、あいつの言うことなんか
聞く必要はないぞ!!」
僕は、あり得ないと思い後ろを振り返ると彼女は、両腕でお腹の下で組むと下目遣いで泣きそうな顔を僕に見せてきた。
「あちきを信じて下さいでありんす」
その美女の顔をとても悩めしく、さらに腕で挟まれた胸はより大きく協調をしていた。さらに後ろで二人の美女が怒り始めた。
僕は、大きなため息をついたが、横で頭を抱えている呆れているユキナを見て冷静になると考え直し、事の真相が判り始めた。僕は、一計を案じ一つのトラップを仕掛けることにした。
「もういい加減にしなよ、リイナ、アメリア」
僕は、振り返るふりをして少しだけ後ろを向くと直ぐに美女のほうに戻した。彼女は、陰険な表情をしながら鼻を上にあげると二人を馬鹿にしていた。
「あっ、あれ……
てへ」
「やっぱり」
僕は、頭を抱えると、絶世の美女は頭を抱えた後胸元をアピールしてなかったことにしようと試みた。
「気のせいでありんす。
あちきを信じてほしいでありんすぅ♪」
「はぁ~、いいよ。
僕は信じるから、だから僕の仲間も信じてほしい」
「そんな奴を信じる必要なんてない」
「もう、アメリアもリイナも、
先に攻撃したこっちが悪いんだろ。
二人とも、敵意むき出しにしちゃだめだよ」
「そうだよ、
ヒビキの言う通りだよ。
仲良くしようよ」
「むっぐぅ~」
彼女は、先ほどまでの演技がなくなり、高慢な態度にかわると二人に向かって、高飛車に語り掛けた。
「あちきは、水にながしてもいいでありんす。
謝ってくれるでありんすなら」
「絶対やだわ」
「私もお断りだ」
二人の確固たる態度に呆れると、二人に代って謝ることにした。
「リイナとアメリアが攻撃してごめんなさい」
僕は、許しをこうため深々と彼女の前で頭を下げると、彼女は驚いた口調で口をひらいた。
「おんしが許しをこいても、あちきの気持ちはおさまらんし。
二人に謝ってもらいたいでありんす」
僕が深々と謝ってると、リイナもアメリアも同じように頭を下げた。
「悪かったわ。いきなり攻撃して」
「悪かったな。
私は悪いと思ってないけどな」
一瞬だけだったが、二人とも頭を下げると彼女は納得いってなかったが、ユキナが助け船をだした。
「もう、カリナも許してあげなよ。
ヒビキの前に挑発的な服装で来るからそうなるんだよ」
「まぁ、いいでありんす。
そっちの貧相な胸だと嫉妬したくなるのも判るでありんす」
それでも、背中を丸め大きな扇を広げると口角をあげ高らかにわらいだした。
「きぃ~。
アメリア、やっぱり撃ち殺しなさい」
「そうだな、あの悪魔は、やっぱりエルフの敵だな」
僕は、三人の間にはいってとめると
「はぁ~、止めなよ、三人とも。
もう、彼女が悪魔とかそんなわけないでしょ」
「なにいってるでありんす。
あちきは、悪魔でありんす」
彼女は、僕らを覆いつくすほどの背中から蝙蝠の羽を出すと真っ赤な舌でぷっくりとした唇を舐めていた。




