第494話 高くそびえる塔をみてみよう
入れ替わりで、ふくらみに大きな違いのある美少女がやってきた。
「やっぱり、ヒビキがいるわね」
「やぁ、リイナ。
おはよう。
よくここだって判ったね」
「そりゃそうよ、
玄関の鍵が開く音が聞こえたもの」
「僕じゃないかもしれないじゃないか」
「あなた以外は、外に用事のある人は、
宿の彼女くらいのものよ。
彼女は、私の隣のベッドで寝てたし、あなたしかいないと思って、こっそりと向かったのよ」
「残念だね。
どうやら、こっそりとは、行かなかったようだよ」
彼女と話している間に小屋の扉の開く音が何度もあり、数人が入ってきたことが判った。リイナの話が終わったと同時に可愛らしい文句が聞こえてきた。
「りっちゃんだけ、ずるい!
私も、起こしてくれればよかったのに」
「そうだ。
ひとりだけ、一緒に行くなんて、卑怯だぞ」
「一緒じゃないわよ。
ヒビキ一人で向かっていたわ」
「うん、みんな寝てたから、
起こしちゃ悪いかなっと。
宿の彼女は?」
「ルカーナのことかな?
彼女なら朝ご飯作るって残ったよ」
「そうだ。
楽しそうに作り始めたぞ。
まぁ、それで目が覚めたんだが」
「そっか」
三人が軽く体を洗っている間は、山の隙間から見える風景を眺めていた。
そういえば、さっきの女性に夢中で景色なんて目に入らなかったな。
昨日きた山とは真逆のところの谷間から、遠いほうに高く聳え立つ塔が見えていた。
「あの塔はなんだろうなぁ」
僕の小さな呟きに反応したように、リイナが口を開いた。
「あれが、わたしたちの目的のあるボマジティアの都市があるところよ」
「そうなんだ。
あの塔には、登りたくないね。
時間がかかりそうだし、疲れそうだ」
「そうだな。
めんどくさそうだな。
寝ている間に頂上までいければいいのにな」
「それは、攻略とはいわないよ」
「まぁ、攻略する必要はないだろうしね」
僕がしゃべっている間に、三人が急いでやってくる姿で眼福し、幸せな時間が過ぎ去っていった。




