第493話 お姉さんから、話を聞いてみよう
「どこかでお姉さんに会いましたか?」
彼女は横を向くと大粒の涙をぬぐい、笑顔でこちらに振り返った。
「ええ、もちろんよ。
あなたが解放戦線に来た時から、面倒を見てたわ。
今のあなたは、覚えてないでしょうけど……」
「そうなんですか……
全然、思い出せません」
「そういうとこだからね、ここは。
相方の荻原くんと違って、あなたは手がかからなかったし、
不愛想で、こんなにフレンドリーじゃなかったわ」
「すみません」
「ふふ♪」
僕は体を小さくして謝ると彼女は口元に手を寄せて、笑っていた。
「だから、いいのよ。
君は、解放戦線では英雄になったし戦犯にもなった。
私は助けてあげれなかったし。
気にしないで、ね」
僕は、彼女の話していることがまるで判らなかったが、彼女の中では納得しているようだった。
「そうそう、ちょっと見せてね」
「えっ!」
彼女は、顔をこちらをみると上から下まで隅々とみて、一つの箇所をじっと見ると呟いた。
「聞いてたとおりより、大きいわね」
「ひゃっ」
僕は思わず両腕で隠したのだが、会話から意図を察したのか彼女も顔を赤らめ恥ずかしそうにしていた。
「ち、違うわよ。
ご、ご、誤解よ。
右腕のマークよ!」
「あ、こっちですか。
確かに、目立つぐらいの大きさですね」
「もう四つ揃ってるのね」
「ええ、これで神様に会えるみたいです」
「そうね、流石。カミキ君だわ。
前よりもあっという間に集めたわね。
この大陸もかなり早く荻原君が集めたかと思ったけど、それよりも全然早いわね」
「僕が集めたんですか?
そんなにはやいんですか」
「そうよ。
君が来た時にも言ったけど、一番初めの大陸なんて揃うのに10年もかかったもの」
「一番はじめ?」
「あぁ、もう、いろいろと気にしないで。
混乱させたみたいで、ごめんね」
彼女がこの後も発言しそうだったが、更衣室のドアが開く音が聞こえてきた。
「誰か来たみたいね。
そろそろいかなきゃ」
「そうですか。
まだ、会話したかったんですが……」
「私はあなたがここにいることを絶対に認めないわ!!
絶対、あなたを助けるから」
彼女は両手でぼくの腕を握りしめて、じっと見ていたが、僕の視線は次第に下がり見事な二つのふくらみをじっくりと見ていた。
彼女は視線の先に気づくと手を放し誰か入って来る前に、湯舟からでて更衣室へと向かって行った。
「まったく。あんな子じゃなかったのに。
昔は私のお尻しか興味なさそうだったのに……
うん、そういう意味では昔からか、な……」
彼女の発言は小さくなっていったが、僕への中傷だけが耳に痛かった。




