表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
僕は、この出会いに感謝する!!  作者: 寿々樹ノ葵
第四部 解放戦線から、解放せよ
492/545

第492話 お姉さんに背中を洗ってもらおう

 少し眠ったとときに、強引にドアを開けようとした音が聞こえたが、しばらくするとその音も止み静かになった。僕は、また安心して眠りに落ちたが、その後も同じように音が聞こえた気がしたが直ぐに眠りに落ちていった。


 数刻後、朝日が昇り窓から僕を照らす明かりで眩しさによって目を覚ました。

「ふぁぁあ~。

 カーテン掛けとけばよかった」

 まだ、眠りたい僕だったが二度寝する前に昨日みんなが向かった温泉へと体を洗いに行くことにした。

 鍵を開け引き扉を開けようとすると昨日より重たかった。ゆっくりと開けるとこちら側に眠っているユキナが倒れこんできた。


 昨日、深夜に扉を開けようとしたのは、ユキナだったのかな。


 倒れこんでも眠るユキナを抱きかかえ、さっきまで使ってたベッドに横たわらせると彼女はまだ眠っていた。

 僕は、頭を一撫でして部屋を出ると部屋の奥に置かれた長椅子のソファーにアメリアが眠っていた。

 

 あぁ、一番初めに来たのはアメリアで、入れないからそこで寝たんだね。


 僕は、彼女を起こさないように静かに部屋を出ると階段を音を立てないように降りて行った。


 二階では物音がしないところを見ると、ここの主人とリイナが眠っているのだろう。


 ガチャリ


 一階の玄関のドアのカギを開けると思ったよりも大きな音がして、誰かを起こしたか心配になったが上階では起きたような気配はなかった。

 

 来た時には真っ暗だったが、外を見ると喉かな村の風景が続き、時折家屋を見かけるくらいだった。昨日目的の場所は、思ったよりも奥まったところにあり、少しの距離を歩く必要があった。高原のせいか、砂漠とはうってかわった涼やかな風が来て暮らしやすそうな村なんだと思った。この風景は懐かしさを感じたが、一番初めのアンリさんの所とよく似ていた。


 少し山に近いところにひっそりと家屋はあり、そこには脱衣所と少し広めの大衆浴場があるようだった。どうやら、誰も使っていないようで、中は静かだった。


 僕は、扉を開けて更衣室に入り服を脱ぐと洗い場へ向かった。だが、直ぐに今きた扉が開く音がし、振り向くとタオルを舞いた年上の美女がこちらを見ていた。その視線は、恥ずかしいというより悲しそうに見えたが、僕の視線に気づくと、口角を上げて笑顔へと変わっていった。

「私も一緒させていいかしら、カミキ君」

「ええ、どうぞ。

 僕だけの場所じゃないですから」


 彼女は、僕の発言に驚いた風で目を見開いたが直ぐにほほ笑むとまた口を開いた。

「ふふ♪

 まさか、一緒に入ることになるとはね。

 背中を流してあげるから、そこに座って」

「でも、知らない人に流してしてもらう必要ないですよ」

「いいのよ。

 お姉さんに任せておきなさい」

 僕は言われるがままに、後ろ向きに座らされると背中を洗われていった。後ろでは、彼女の嗚咽が聞こえてきたが、聞かなかったことにして目を瞑った。

「さぁ、綺麗になったわ」

「じゃ、今度は、僕が」

「それは、遠慮しとくわ。

 先に、湯舟につかってなさい」

 僕は、残念そうな顔をすると面白かったのか一笑すると僕から背を向けて体を洗い始めていった。


 僕はぬるいお湯につかりながら、彼女の先ほどまでの行動や言動を思い出していたが、思い当たる関連する出来事は思う付かなかった。

 僕が思案にあけくれている中、洗い終わったお姉さんが隣へと座った。一糸まとわぬ彼女を直視することはためらったため、僕は直線状にある森を見ていたが横目で見た彼女の眼には大粒の涙が溜まっていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ