第484話 ユキナの必殺魔法をみてみよう
「ろ、ロック鳥じゃ。
横からきてるのじゃ。
今までで、一番の大きさじゃ。
ね、狙われておる、
まっまっまっ、まっすぐ突っ込んできてるぞぉ」
ザジさんの慌てた様子に、直ぐにリイナが反応し寝ているアメリアに倒してもらうためか起こそうとしてるようだ。
「アメリア、起きて狙いなさい
ア・メ・リ・ア!」
「ふにゃにゃ、眠い……」
リイナが、後ろで必死で肩を揺さぶってるが、起きる気配が無さそうだった。
「仕方ないわね。
ちょっと、ザジどいて、邪魔よ」
「こっからでるのは無理じゃ」
「ホロの中からじゃ敵が視認できないわ。
あなたをどかすしか手はないのよ」
リイナの焦りの声が馬車中に響き、僕の魔法の集中が途切れそうになる頃、澄んだ声が馬車中に聞こえた。
「えっへん!
りっちゃん、私に任しといて」
「え!
ゆっちゃんが?
だって攻撃魔法なんて、見たことないわよ」
「ふふ、見といてね」
ユキナは、僕の先を見ていた視線と姿勢を右側にすると向かってくるであろうロック鳥へと向きなおした。
白い大きな杖をバックから取り出すと両手でみて、目を瞑りイメージを練っているようだった。
すべての準備が整ったのか、真面目な表情になると、相手を睨みつけていた。
「我が神、蒼龍様……
かの物を倒す力を私にお貸しください!
神の雷!」
一瞬で全域が暗くなると、即に数本もの稲光が入り込み轟音が轟くと、リイナの魔法以上の迫力を聞こえてきた。
「な、なんじゃ。なんなんじゃ。
世界の終わりじゃ」
「す、すごいわね、
ゆっちゃん」
「なんだ、
うるさいぞ。
静かに寝させろ……」
アメリアは怒りの口調だったが、すぐさま後ろで寝息へと変わって行った。
「どうやら、倒せたみたい。
今回は、うまくいったわ」
魔法が上手に発動できて安心したのか、腰を落として安堵の表情へと変わっていた。
「すごかったわ、ゆっちゃん。
これなら、どんな敵も倒せるわね」
「それがね。
ここに来る前に、海を走ってるモンスターを倒し損ねたの」
「へぇ、そんなの珍しい敵がいたのね」
「そうなの、この大陸から私たちの大陸に向かってたから
ぶっぱなしたの。
それにしても、かわってたよ。
もー、もーって咆哮してたんだよ」
「へぇ、牛みたいね。もーもーって。
うん……モモ……。
その人、禿げてた?」
「りっちゃんは、モンスターに詳しいね。
確かに毛がなかったよ」
「うっ!?
で、その人どうなったの?」
「それがね。
海の上で1本の雷を落とせて、沈んだところで満足したんだけど……」
「しんだの!?」
「だから、倒せなかったんだって。
海に沈みかけたんだけど少し離れた陸地に打ち上げられて、しばらくしたら起き上がって森に消えてったよ」
「そ、そっか、それは、良かったわ」
「よくないよ、きっとすごい危険な魔物だよ」
「うん、魔物じゃないけどね。
まぁ、後で教えてあげるわ」
「そうなの?
気になるなぁ」
僕は、リイナのほっとした声に、落ち着きを取り戻し、また魔法のイメージを続けたのだった。




