第483話 ユキナを救ってみよう
僕は、魔法を放つイメージを固めるなか、ゆっくりと馬車は動き始めた。
「さて出発じゃ」
ゆっくりと動き始めたところで、地中から掌をだすイメージが固まった。
「師匠!
僕に師匠の用に自在な掌をだせますように!
彼女を救う力を!!
魔王呪縛掌!!!」
イメージ通りに地面から大きな掌が現れ、ゆっくりとユキナを優しく包みこむように持ち上げた。最後まで魔法を唱えず崩れないように集中して、魔法の形を維持させていた。その後ろで納得したようなリイナの声が聞こえた。
「なるほどね。
それで、運べば馬車の揺れがこないってことなのね」
彼女の想定通り、馬車は大きな縦揺れ横揺れを繰り返していたが、馬車とは繋がっていないユキナは、揺れるていなかった。
「でも、マナが無くなったら、終わっちゃうわね。
あー、それでさっきのマナポーションを定期的に使うってことなのね。
「なるほどな。
よく考えられてるな。
また、私の出番はなさそうだな」
「アメリアは全くなさそうね。
といっても、わたしもそれほど、なさそうだけどね」
「だいぶ、楽になってきたけど、
ヒビキに悪いかな」
僕は、ユキナに返事を出したかったが、魔法の集中が途切れそうで、リイナが代って話してくれた。
「いいのよ。
苦しんでるゆっちゃんを見るほうが辛いに決まってるわ」
「そうかなぁ」
「だから、大人しくそこで見てなさい」
「うん、判った」
リイナの説得で、簡単に折れてくれたことで、僕は、また魔法が途切れないことだけに集中することができそうだった。
「ヒビキは、頑張ってるな。
で、リイナは、マナポーションの役目があるしな。
私は寝るかな」
「いいわ。
何かあったら、起こすから、よろしくね」
「あぁ、お休み」
僕は、後ろを振り向くことはできなかったが、さっきよりも広く使えるためか、アメリは横になって休んでいるようだ
だが、一刻もしないうちに、先頭で舵をとっていたザジさんの悲鳴が聞こえてきた。




