第482話 無限に使えるマナポーションをリイナにあげてみよう
僕は、バックから古臭い灰色の小瓶をとりだすとリイナが食べている近くに置いた。
「なに、これ」
「そう、エルフ産だって」
僕の発言を聞くと、アメリアは食べていた二つ目のクリームのパスタを置いてちらりとみた。
「それは、エルフにしか使えない魔法の小瓶だな。
だが、リイナなら使えるだろう」
リイナは、話を聞くと食べるのを辞めて小瓶を持ち上げてまじまじと見ていた。
小瓶は、リイナが持った瞬間に灰色から透明に変わり中にはオレンジ色の液体が徐々に増えているようだった。
「なに、これ?
なんなのアメリア」
「それは、リイナのマナが瓶に溜まってるんだ。
マナポーションとしてつかえるぞ」
「へぇ、便利ね」
「だね、リイナにあげるよ」
「いいの。やったわ。
これで、魔法が使い放題だわ」
「といっても、一瓶だけだがな」
「まぁ、そこはしかたないわね。
ありがと、ヒビキ♪」
「いいよ」
どうせ、ザジさんに買ってもらったものだからね。
とはいえず、最後は口に出さないで笑顔でごまかした。
僕はこれらの考えをまとめ、今後の進み方で名案が閃いた。
「よし、これでなんとかできるかな」
僕が、小声で口に出すともっと小さな声が耳に聞こえてきた。
「ひびきぃ
たすけてぇ……」
「あぁ、任してよ。
絶対、次は苦しい思いはさせないから!
だから、今は、ゆっくり休んでて」
「……うん。
しんじてる……よ……」
彼女は、そういうとまた這いつくばるように地べたに横になって休んでいた。
僕は、彼女に膝をかして枕のようにすると、頭を撫でている間に二人の食事も終わったようだった。
「でも、
ゆっちゃんは、心配だわ」
「そうそう、
あとで、リイナにも手伝ってほしいんだ」
「なんでも、協力するわよ
それで、ゆっちゃんが楽になるなら」
「私だってな」
僕らが話している間にザジさんが後片付け終わらすと直ぐに旅立つ準備が終わらせ、出発の声が聞こえてきた。
「そろそろ、出発するのじゃ。
遅くなると、夜に村に到達できなくなるのでな」
「判りました。
先に二人で乗ってよ。
僕は、最後に乗るから」
「判ったわ」
二人が乗り終わったと、僕は後方で胡坐をかいて陣取った。
「ヒビキは、何をするのかな」
「しぃー、きっと、ゆっちゃんを
助けてくれるわ♪」
僕は、彼女たちの信頼を裏切らないためにも、そして苦しんでいる彼女の為にも、成功させたいと一つの魔法を唱え始めた。




