第481話 朝食をたべるために休んでみよう
暫く進んだところで、正面で馬を操っているザジさんが振り返らずに、話しかけてきた。
「あと少しで、少し広いところに出るのじゃ。
そこで、朝ご飯の予定じゃ。
まぁ、食える奴はおらんじゃろうがな、あーはっはっは」
「ええ、お願いします」
「はっ!?」
僕の早く元気な返答を驚いた様子で振り返り、他の二人も気持ちよさげに寝てるのを確認するとがっくしと肩を落としてに正面へと向き直した。
「なんなんじゃ、あいつらは……
おもしろくないのぉ……」
先ほどよりも、若干移動速度が速くなり揺れが強くなると、ユキナは限界のためか、先ほどよりも強く握り小刻みに震えていた。
「…うぅ…
駄目かも……」
僕は心配しているしかなく、見ているこちらが可哀そうなぐらいに、青白かった。見守ることしかできないことに歯がゆさを感じていると、どうやら朝ご飯が食べられそうな目的の場所に着きそうで、速度が急にゆっくりとなった。
「さて、着くのじゃ」
「さ、ユキナ、
ゆっくり馬車から降りよう」
返事をすほどの元気もなさげなユキナを抱きかかえ、後ろからでると草が少なめの所に、降ろしてあげた。這いつくばるように降りると、そのまま横になり、息を整えていた。
僕は、ユキナを地面で休んでいることを見てから、まだ眠っている二人の肩をゆすり目を覚まさせた。
「ふぁぇあ。着くには、まだ、早いでしょ」
「私は、まだ眠い」
リイナは、素直に降りてくれたが、アメリアはまた眠り始めた。
「もう、ご飯なくなるよ」
「それは困るな」
食べ物の話をすると直ぐに起き上がり、馬車からでてザジさんが用意してくれた簡易的な椅子に座ると、ナイフとフォークを持って、朝食がでてくるのを今か今かと待っていた。
「ちょ、はやい」
僕はあまりの速さにその場に置いて行かれて、既に座っていたリイナの隣へと座った。
「それにしても、
あんたら、すごいんじゃな。
普通ならそこのシスターのようになっとるんじゃが……」
「そんなことはどうでもいいな。
はやく、麺料理をだすのだ」
「そんなこと言ったっけ?アメリア」
「私をご飯にさそうってことはそういうことだ」
僕は、違うと思いながらも、口に出さないことにし、ザジさんが出してくる料理をぼぉっと見ていた。
ありがたいことにアメリアのご要望のパスタ料理が逸品だけ入っていて、アメリアは自分の前に持ってくると一人で食べ始めた。こっそりと、一巻きフォークに巻き付けると油とニンニクと塩のシンプルな味付けだった。
「それ以上、あげんぞ」
「へぇ~」
リイナは、僕の横で同じようにこっそりと一巻きすると、口に入れ舌鼓をうっていた。
「美味しいわね」
「もう、アメリアも意地悪しないで、食べさせてあげなよ」
「まぁ、ヒビキがそういうなら」
僕は、ある程度食べてお腹が膨れると、ゆっくりと立ち上がりユキナに近づいた。
「どう?
なにか食べれる?」
「…ようやく、少し落ち着いたけど、だめ…」
う、かわいそうだな。
何か手はないのかなぁ。
僕が考えてるところで、ザジさんがまだ料理を出していた。ザジさんを見ているとあることを思い出した。
そういえば、リイナに小瓶を買ったんだっけ。




