第475話 宿に戻ってまったりしてみよう
半時程が過ぎると、隣の椅子で腹ばいで横になっていたアメリアがむくりと起き上がってきた。
「はぁ、苦しかった。
で、お前らは、何してるんだ?」
「疲れとお酒で、シルキィとユキナは、寝てるんだよ」
「そうか?
私には、起きてるようにしか見えないぞ」
ゆっくりと、視線をユキナに向けると、目が合い直ぐに反対側に目線を逸らした。
「起きてるんじゃないか」
むくりと背中合わせしていたリイナが、起き上がるとユキナの首根っこを掴んで立たせた。
「りっちゃん、痛いよ。
離してよぉ」
「もう、ゆっちゃんたらぁ」
「まぁまぁ、そんなに怒らないで、
お腹もいっぱいになったし、
そろそろホテルに戻ろうよ」
「ああ、そうだな。
まだ、歩き辛いけどな、げぷぅ」
アメリアは、倍ほどまであったお腹もだいぶへっこんでだが、それでも、まだぽこりと少し膨らんでいた。「じゃ、ゆっくり帰ろうか」
ユキナを使って残っているものを弁当風に包んでもらうと、6色の砂の小瓶を一セットも頂けた。
オーナーからは、自慢の虹色砂を持って帰らなかったことが不満そうだったが、ルルさんが小声で話しすと少し納得したようだった。
「では、またお待ちしております」
オーナーとルルさんと接客してくれた従業員が店の外まで出てくれて挨拶をしてくれ、僕らは、見えなくなるまで、手を振った。
「美味しかったね」
「そうね、またきたいわね」
「だよね、今度は、すぅちゃんもつれて」
「だな」
僕ら4人は、今度の冒険がうまくいくことを誓い気持ちを引き締めたが、僕の背中でおぶられているシャルルは気持ちよさげにまた眠り始めた。
やがて、泊まる予定のホテルが見えてきて、ようやく今日とまる部屋に行ってないことに気づいた。
「おかえりなさい。
どうでした料理は?」
ホテルのオーナーが優し気にユキナに話しかけ、事の顛末をつげると苦笑しながら、僕らを泊まる部屋へと連れて行った。
そこは、夕方に使った砂風呂を通り越した先の離れの別館だった。そこも3階建てだったがその一階の大きな部屋を貸してくれるようだ。
「いえと違っておおきなへやだねぇ」
寝ぼけ眼のシルキィが背中から語ったが、僕が返事をする前にまた眠り始めた。シルキィを一番近い部屋に眠らせみんなで更なる夜会をすべくホテルの人にお酒をお願いしていた。
数本のお酒が幾つか持ってきてくれてその場を離れて行った。無くなったらまた運んでくれるみたいだ。
みんなで、ゆっくりと飲みながら近況を話していたが一本開けてもまだまだ話したらなかった。
「夜は長くなりそうだな」
「その前に、お風呂ね」
「この階の3階にあるみたいだよ」
「今日は一日いろんなことがあったから、ゆっくり浸かりたいや」
三人が賛成する中、まだ夢の中のシルキィを置いて、上の階へと向かうのだった




