第474話 みんなでゆっくりしてみよう
「もう、シャルル。
だからと言って、吐き出しちゃだめだよ」
「だって、我慢できなかったんだもん!
ごめんなしゃい」
涙目で謝ってる彼女と共に僕も頭を下げると、ルルさんに謝り許して貰った。
「こちらも先に話すべきでした。
香りのつよいものには、使わないように言うべきでした」
ルルさんは、ほんとに申し訳なさそうに深々を誤ってくれて返ってこちらが恐縮した。
その前には、ようやく皿にあった料理がなくなると、名残惜しそうに見つめていた。
「はぁ~、美味しかった。
ヒビキ、小瓶取って、次食べるわ」
僕は、その様子をみて、小瓶をルルさんに渡し持って帰ってもらうことにした。
「かしこまりました」
「なに、してるのよ、ヒビキ。
わたしに、わたしに渡しなさいよ!」
席を立ちあがり、こちらに近寄ろうとしたところで、アメリアを指さした。指さした先には、既にお腹はいつもの倍くらいまで膨れ上がり、口からは苦悶と恍惚の表情が交互に現れていたが、額からは脂汗が流れていた。
リイナは、その様子をみて直ぐに悟ると、引き気味になり自分の席へと戻って行った。
「うわぁ~」
ユキナも食べ終わり、テーブルの上に小瓶がないことが判るとルルさんに文句を言いそうになったが、正面のアメリアに気づくと苦笑いを浮かべていた。
「うまいって、つみだね、ヒビキ」
「だねぇ。
アメリアから、皿を取ろうとすると、怒るんだよ」
「食べてるときは、夢中だったから、判るわ」
リイナとユキナが話始めてる脇で、ようやく食べ終わったアメリアが、真ん丸のお腹になりながら横になった。
「も、もう、食べれない……ゲプッ」
ずっと、苦悶の表情を浮かべているアメリアに、小言を言うことはできずに、早く良くなってほしいと心のの中で祈るしかなかった。
「それにしても、他の砂の調味料は美味しいね」
「何言ってるの、虹が一番だったわ」
「ねぇ~りっちゃん、当然だよ」
確かに言う通りなんだけど、魔性すぎるよ
僕は、冷えたエールを飲みながら、席も移動せず隣で眠り始めたシルキィの頭を撫でていた。
「また、シルキィだけ、甘えさせて!」
「今日は、色々頑張ったし、
また、明日も頑張んなきゃいけないだろうし、
お別れだしね」
「そっか」
リイナも納得したようで手酌でワインを飲み始めるとユキナはおもむろに立ち上がり、僕の横に密着して座った。
「しまった。
また、先を越された」
「えへへ~、しばらく会ってなかったんだから
いいよね♪」
お酒で真っ赤になってるユキナがこちらを見ながら、にこりと笑うとそのまま吸い込まれそうになったが、正面の美女の視線に気づきシャルルの撫でていた手で同じように頭をひとなでした。しばらくすると苦しそうな声の一人と気持ちよさそうに眠る二人の寝息しか聞こえなくなった。
リイナは、ユキナが座っていた椅子を強引に僕の後ろに運ぶと座り、僕の背中を背に、ワインを飲んでいるようだった。




