第468話 砂と夕陽と美女を眺めてみよう
砂漠へと続く大通りには、いくつかのホテルが見えたが、これといった特徴もなく今夜の宿を決めきれなかった。そんな折、先頭を歩くリイナが何を見つけたのか、笑顔でこちらに振り向いた。
「あら、ヒビキ、
あそこ、見て!
砂風呂ができるって」
「まだやってそうだね。
あと少しは、できるかもしれないね」
「へぇ、砂風呂ってなに?」
「私もはじめてだよ、初めて同士だね」
「じゃ、今日は、ここにしよっか」
「了解!」
リイナは、走ってホテルに入り受付にいたオーナーらしき人と話すと、数人の従業員と一緒に帰ってきた。
「今回も、一番いい部屋で泊まれるわ、ふふ。
で、時間がないから、そのまま砂風呂のある所に、連れて行ってくれるって。
「はい。
半刻くらいで終わりなんですか、
リイナ様ですから、延長していただいてかまいません。
といっても、一刻もすると真っ暗になりますから、
暗くなるまでってとこですね」
「さぁ、これに着替えてください」
僕らは、ホテルに入って直ぐの更衣室へと連れて行かれた。僕は、手渡された白い浴衣のような服に着替えると着替えている3人よりも早く外に出た。
僕は、ピラミッドがある方向を眺めると遠くに緑色の風に包まれた物体がこちらに向かってやってきていた。
「シルキィ、こっちだよ」
僕が飛びながら両手を振ると気づいたようで、方向を少し変えこちらに寄せてきているようだった。
直ぐに彼女の姿が見え近づくにつれて砂煙が舞い大変なことになったが、目に砂が入らないように我慢しているとようやく地面へと、いや、僕の胸に飛び降りてきた。
「ヒビキしゃん、戻ってきたよぉ」
「お帰り!」
僕は、優しく抱き抱えると、その場に静かに降ろしてあげた。
「今日は、ここに泊まるよ。
今からみんなで、砂風呂体験なんだよ。
シルキィも、やる?」
「みんな、やるなら、わたしぃもやるぅ」
くるくるその場で一回転すると、職員がきて更衣室へと誘導してくれた。
僕は、小さく手を振って見送るって、タイミングよく3人の女性が近づいてきた。
「では、こちらに寝転がってください」
「はい」
言われたまま、へこんだところにあおむけに寝転がると更に数人がやってきて、砂を掛けられあっという間に、顔以外は全て砂の中に埋まってしまった。
しばらくすると、全身が熱くぽかぽかして汗をかき始めたころに、白い服の美女3人と慌てて出てきたはだけたシルキィがやってきた。
「こら、シルキィ、里じゃないんだから、ちゃんと着ろ」
「だって、みんなが、しゃきに行っておいていくから!!」
アメリアが、膝立ちになり、シルキィに服を着させている間に、僕の両脇には、リイナとユキナが寝転がった。
「「おさき~」」
「む、しまった!
シルキィのせいで、ヒビキを見ながら、砂風呂ができなくなったじゃないか」
「ごめぇん、アメリア」
シルキィは、ほんとに悪いと思ったのか半べそになると、アメリアは、額にキスをして、頭を撫でた。
「冗談だ。
さぁ、できた!。
隣に一緒に入ろう」
「うん!」
リイナの横に二人が並んではいると、同じように砂を掛けられ、全員が顔だけしか見えなくなった。
全員が額に汗をかきはじめるころ、太陽が沈みかけ夕陽へと変わって行った。
職員さんから、間もなく完全に陽が沈むと、寒くなるということなので、僕は夕焼け砂漠の風景と砂に生まれた美女4人を見るため、先に砂をどけてもらった。
火照ったからだが急速に冷えていくはずなのに、夕焼けに移る汗だくの4人の美女、美少女をみると、不思議と胸の奥から熱いものが沸き上がって行くようだった。




