第465話 両手杖を紹介してもらおう
僕は、一本の杖に近づいて指をさすと、
「この一本だけですか?」
「ふふ。
その木の杖と、そのでっかい石柱が両手杖扱いですよ」
「え、杖はまだしも、石柱なんか持てないでしょ?」
僕は、自分の胴回りよりも太く胸ぐらいまでの長さがあった。その外観は、黒い点々がついていて気持ち悪くとても見栄えが悪かった。僕は、絶対持てるわけがないと思っていたが、ハンナさんは、軽々と片手で持ち上げると僕に投げつけてきた。
「ひゃっ!?」
僕は、死を覚悟したが諦めずに全力の力で受け止めると、指にこつんとあたりその場に落ちて転がった。その反動から、小石ほどの重さもないことが判ると片手で持ち上げ、石柱の真ん中を指でバランスをとって遊び始めた。
「すっごい、軽いですね」
「ええ、びっくりしたでしょ?
見掛け倒しで!」
「こんなのすっごい邪魔だよ」
「ですよねぇ。
スキルも破壊力アップって、なかなか珍しいもので、物理攻撃も魔法攻撃もダメージが多く与えられるみたいです」
「回復力なら、まだしも、破壊力をユキナがねぇ~
う~ん、どうなんだろうぉ」
「あーー!
私だって、攻撃魔法の一つや一つくらい使えるんだよ!」
「そっか、一つ使えるんだね」
「エッヘン」
僕は、どんな攻撃か想像もつかなかったが、聖霊魔法でなにかあるんだろうか
「で、こっちが、エルフの里から流れた逸品だったやつです。
魔法範囲アップって、いいやつがついてます」
「へぇ、呪いがなければ、高そう
呪いが無ければ」
「そうなんですよ。
魔法を使える人も何人かは、手を止めるんですけど、
大体、エルフからの出自ってきくと、泣く泣く諦めますね」
僕は、昔のリイナのひどい呪いを思い出すと確かにそうだと思いだした。
「話に聞いたんですけど、呪いでカエルにされた人もいるらしんですって。
怖いですよね」
「ええ、事実なだけに怖いですよね」
「え?」
「え?」
「ははは、冗談ですよ」
「冗談ですか、もう、ヒビキさんたら。
知合いにいるんかと思いましたよ。
で、これにしますか」
「ええ、これにします
はい、了解です。
なんだったら、石柱もつけますけど
要りませんよね?」
「じゃ、せっかくなんで、そっちもいたたきます」
「やった!ごほっごほっ。
じゃ、お買い上げっていうか、プレゼントてことで」
彼女が僕に手渡そうとしたとき、下からリイナの声が聞こえてきた。
「ね、店員さん
これいくら?」
「あー。いまいきます。
あとは、好きなように持ってってくださいな」
彼女は、慌てて駆け足になると、階段を降りていった。




