第462話 情報の大切さを実感してみよう
僕らは、その後町を3時間ほどかけてぐるっと一周回った。大陸のはずれもある陸の孤島のような町がある一だったが、この大陸でとおったどの町と変わらないぐらいの大きさだった。
その道中で、町の最右端から次の大陸へと続く山越えの道がひっそりと佇んでいた。残念ながら、人通りが全くなくいつから使われているか判らないくらいだった。他にも町の上下にある次の村へと続く砂道も同様に人通りどころか足跡もなかった。
一歩踏み込んだ通りは人は少なかったが、どこの道でも移動の話が賑わっており、時間が経つにつれどこの通りでも、その話題で持ち切りだった。
僕は、一旦その場に止まると、3人に振り返った。
「どこがよかった?」
「露天はどこもなさそうね」
「私は、ヒビキと一緒ならどこでもいいぞ」
「わたしもー」
「もう、二人とも、真剣に考えてよ」
「じゃ!ヒビキに任せる」
「わたしもー」
3人が全く考えてないことで、頭を抱えるしかなかった。
「リイナ、どこにしよっか?」
「ヒビキに任せるわ」
「また、リイナまで~!」
「ふふふ、
シルキィが降りた地点で探したほうがいいんじゃない?
遠いと行き来が面倒でしょ。
それに、ギルドも近かったしね」
「さっすが、リイナ。
いい案だね、そっちで探してみよっか?」
「ええ」
その道中でまだ通っていない町の中央付近に、今まで見た町の中で一番大きな武器屋が見えてきた。
「入ってみる?」
「私は、興味ないな」
「わたしもないわ」
行きたそうだけど、返事がしづらそうなユキナを見て、代わりに行くことを提案した。
「少しだけ、覗いてみたいな。
ユキナ付いて来てよ」
「 だよね!」
僕は、ユキナの手を握ると、3階建ての建物に入って行った。二人も、遅れてゆっくりと付いてきた。一階には、大小様々な武器が置かれどれも綺麗に磨かれていた。カウンターには、金髪の美女が笑顔でこちらを見ていた。
「いらっしゃいませ♪」
僕は、辺りを見回したが、ゲリィさんの所で新調した剣を超えるものは見えなかった。
僕が探して迷ってると思ったのか、ガウンターから出てくると僕に声を掛けてきた。
「こちらなんかどうかしら?
今なら、大金貨1枚にしときますよ」
彼女が持ってきた剣は、軽そうなミスリルの片手剣だった。つくりは、スズネにもらったものとそん色変わらないように思えた。僕は、受け取り一振りすると手になじみとてもよい代物であることはわかった。鑑定の魔法を唱え、何もスキルが付いていないことが判ると、そのまま彼女に返した。
「マジックアイテム、ユニークスキルがついてるものはないの?」
「お客さん、他の大陸からきたのかな。
この大陸じゃぁ、あんまりでまわらないのよ。
マジックアイテムなら、二階だけど……
この大陸だとダンジョンからの入荷がないから、品数は少ないし高価だわ」
「そうなんだ。
じゃ、間もなくダンジョンに行けるようになるし、
大量の商品が入ってくるようになるね」
「え!!
どういうこと?」
僕は、美女にさっきまでのいきさつを聞くと、彼女は慌てて二階に駆け上がった。
「兄さん!
その交渉待って!」
「なんだ、ハンナ。
もう、交渉が終わって買い取るところだぞ」
彼女が兄に耳うとをするとと、取引はご破算になり、行商人は憤慨して出ていった。
「君が情報源か、ありがとう。
危なく不良在庫を高値で買い取ることになりそうだった。
ハンナ、俺は、ギルドに行ってくるから、店を閉めといてくれ。
あと、彼に好きなものを一つやっていい。それだけの価値のある情報だったからな」
「わかったわ」
彼女の兄は、雑に別れの挨拶をすると、建物から出ていった。
僕は、あんな話一つで、なんでも物がもらえていいのか困惑していたが、他の三人は喜々として何をもらおうか物色し始めた。
僕がなんでももらえるはずだよね?




