第460話 思いっきりの良さが必要なときもあると理解しよう
とりあえず、ギルドマスターを放逐したことに触れられたくないと思った僕は、天に祈りながら彼女の質問事項を聞いてみた。
「僕らに、聞きたいことがあるとか?」
「そうさね。
これは、あんたら冒険者じゃなく、魔王の方なんだが」
「わしか、
あれじゃな」
「あぁ、20年ぶりのダンジョンへの道の復活さねぇ」
「じゃな」
コンさんは、一口飲むと真剣な表情で探りながら聞いてきた。
「で、移動のためだけ……
今回限りの特別さね?
暫く行けるようには、してもらえるんさね?」
「ああ、朗報じゃぞ。
来るとき、ヒビキくんと話してじゃ、
わしが生きてる間は、開放しようと思っとるじゃぞ」
「「「「やった!」」」」
副ギルドマスターの4人の女性達が、お互いを抱き合いながら喜んでるので、そこまでの理由を聞いてみることにした。
「ダンジョンに行けようになると、何かいいことがあるの?」
「当然ですよ
ダンジョンから持ちかえれる金貨やアイテム。
それを求めにやってくる冒険者。
そして、宿屋や飲食などのお金も落としてくれますし!」
「きっと、昔のように活気も戻ってくる!!」
「特にここ半月ほど、移動もままならなく
暗い雰囲気が覆っていたから、これ以上ないくらいの吉報だわ!」
だが僕は、苦言を言わずには、いられなかった。
「でも、あの砂漠を超えての移動だと
そんなに人が増えないんじゃいかな」
「たしかに、
そうかもしれないわさ」
「ダンジョン近くに町とか、向かうさいの移動が楽になるような手段があれば、
盛り上がりそうだけど」
「そうですね、う~ん。
ヒビキ様のいうことも、もっともですね。
では、2つの村とこの町からつながる道と、宿や食事を提供できる建物を作れたり、
できますか、コン様」
金色のコンは、目を瞑り考えていたようだが、納得できる案がでなかったようで、僕を見つめていた。
「ヒビキ君は、他に案があるさね?」
「う~ん。
僕だったら、ダンジョンの近くじゃなくて、
魔王様とエルフの里とダンジョンの間に大きな町を作りますね。
そうすれば、二つの村から魔王様への道から外れることで、作る道が短くできますからね。
それに、魔王様と会いに行けやすくもなりますし。
この町ごと、移動すれば、いいんじゃないですかね。
はははは」
僕は、最後に適当に軽口をたたいたが、誰もが唖然とし笑ってはいなかった。
「す、すみません。
冗談です」
みんなで押し黙って考え始めた中、魔王が口をひらいた。
「どうじゃ、コン。
わしは、いい案じゃと思うじゃぞ。
わしらとの連絡も今より密接にできるしの」
「たしかに、今ある道を二手に分ければ、道作成の期間も短くできます、コン様」
「反対にある都市モンテバへも、連絡が短くでき、管理しやすくなります」
「それに、他の二つの大陸への移動も楽になりますよ」
コン様は、一間をおくと真面目な口調でホイさんに話しかけた。
「ホイ様、新しい都市に結果石は、配置していただけますか?」
「うむ、当然じゃぞ。
大陸の人の平和は、わしの範疇じゃからな」
「ありがとうございます
では、明日、残す建物と人間を区分けしますので、
移動をお願いします」
「了解しゃよぉ」
「じゃ、4人とも忙しいわさ。
行った、行った!」
「はい!」
四人の美女は、慌てた様子で部屋を出ると、ギルド職員を集めて打ち合わせを大ホールでしているようで、開いているドアから声がもれてきていた。
僕は、雑な提案が進んだことが判りこれ以上は考えないようにしようと思ったが、背筋の冷汗は止まらなかった。




