第456話 美女に抱き着かれて落ちついてみよう
「でも、あんなに砂嵐があったんじゃ、飛んだら引き込まれるんじゃ?」
「そうだよ、おじいしゃん
どうしゅるの?」
「まぁ、みてるんじゃぞ。
わしに任せて、ジニョーロに向かう風をだすんじゃぞ」
「そういうなら」
「え!!
ぼ、ぼ、ぼ、ぼくはいやだーー」
僕の叫び声は誰も聞いてくれす、シルキィは魔法を唱えると僕らの体は緑色の風に包まれゆっくりと浮かび上がった。
僕は、恐怖の余り目を瞑って何かに必死でしがみつくと誰かの背中に顔が辺り掴まった先の両手には手に余る柔らかなふくらみがあった。
「いやぁん、激しすぎだよぉ」
「ひびき!わたしってものがありながら」
「そうだ。私なら顔をうずめてもいいんだぞ」
「む、むり、むり、はなしたら
おち、おち、ちゃう」
「落ちないから
わたしの腕にしがみつきなさい」
「ぁあん、だめだよぉ」
「私を痛いほど強く抱きしめていいのだぞ」
強引に二人が僕の腕を引き離すと、三人にまとめてがっしりとしがみついた。体のあちらこちらに6つの柔らかい感触があったが、そんな余裕はなかった。だが、3人に優しく抱きしめられると落ち着いてきはじめ、鼻腔をくすぐる甘い香りに意識が集中し始めた。
少し目を開けたら、左ほほの感触はリイナの顔が、右頬にはアメリアの顔で挟まれていた。身長の低いユキナは胸に額が付いていた。僕が、静かになったところで、ホイ魔王が昔話を始めた。
「よいところじゃぞ。
みてるがよいぞ」
ホイ魔王が指した先には、大きな砂嵐がありこちらを飲み込もうとしていたが、近づくにつれ大きさが小さくなっていった。
「わしがおれば、砂嵐はなくなるのじゃぞ」
「そうしゃんだ。
おじいしゃんがいれば、まっすぐいけたんしゃね」
僕は、完全になくなった砂嵐の先を見ると、大きな三角形のピラミッド型の建物が見えてきた。
「あれは?」
「あれは、この大陸唯一のダンジョンじゃぞい」
「砂嵐に囲まれたら、入れないんじゃ」
「そうじゃぞい。
誰かに入られてわしが討伐されちゃこまるぞい」
「何でですか?
魔王がダンジョンにいなきゃいけないってことなのかな。
……
でも、
モーリス魔王は、のダンジョンにいず城にいましたよ。
それに、僕の師匠バート師匠は、モーリス魔王の大陸にきてましたし」
「は!?
そうなのかじゃぞ。
……ジルに担がれたのじゃぞい」
「確かに、ジル魔王は、ダンジョンの奥地にいましたけど……」
「なるほどじゃぞ。
奴は、いつでもあるべき魔王を目指していたのじゃぞぃ」
そしては、魔王は、移動で暇な僕たちに昔話をしてくれるのだった。




