第454話 アドアとアンナを聖都へ帰してみよう
僕は近づき慌ててやってきたユキナをその場にあった椅子に座らせた。
「何があったの、ユキナ。
すぅちゃんってことは、スズネになんかあったのか?」
「うん、そうなの」
ユキナは、大きな深呼吸を何度もしてから、辺りを見回すとアンナをみると後ろに隠れて小さくしているアドアを見つけ首を横にして確認していた。
「ヒビキ、ちょっと、まって!
その前に、そこにいるの、アンドレアでしょ!」
「はい、ユキナ様」
アドアは名前を呼ばれると、アンナから出て背筋を伸ばしてその場に立ちすくみ声を裏返して返事をした。
「なんで、そこにいるかなぁ!!
シスター様が、帰って来ないって心配してたよ。
連絡も入れないなんて、駄目でしょ!」
「うっ
すみません、ユキナ様」
その後も、ユキナの説教はくどくどと続きアドアが泣くまで、その説教は止まらなかった。
流石に可哀そうに思った僕は、二人の間にはいって、ユキナを止めることにした。
「ユキナ、その辺にしといてあげなよ。
アドアだって、この大陸を救ってくれるために、
活躍したんだから、
ねぇ?」
僕は、後ろを振り返りアドアをみると全く泣いておらず、アッカンベーをしていて、すぐにウソ泣きに戻っていった。
僕はその様子に頭を抱えると、
「でしょ。
あの子は、そんなくらいで堪えるたまじゃないの!
でも、今は、急いでいるから、
この辺にしといてあげる!
アドアは、今直ぐに聖都に戻りなさい!」
「は~い」
アドアは、逃げるように後ずさると、
「ヒビキさん、みんな、また~
げんきでねぇ~。
さぁ、アンちゃん、行くよ」
「へ?
私も行くの?
私はヒビキ兄さんと一緒に行こうと思ったのに」
「いいじゃない、
リイナ姉と行くとき付いて行ったんだから!
今度は、私に付く合ってよ」
「えぇ~。
リイナ姉さん、ヒビキ兄さん、また~」
アドアは、アンナの腕を引っ張って連れて行くと、ユキナが来た道へと引きずって行った。
「アドアは仕方ないとして、
アンナは、一緒に行かせなくても
いいんじゃなかったの?」
「道中で敵に襲われたら、危険だから、
一緒のほうがいいんだよ」
僕は、ユキナの回答に釈然としなかったが、スズネについてようやく聞ける準備が整ったと理解した。




