第453話 間話 乙女3人旅 最終目 ~敵は正面にあり!
アドアとアンナが全員より早く起きると部屋の中は、綺麗に片付いていた。
「さぁ、姉さんを起こしに行こうか」
「は~い」
アンナが、背伸びをしながら隣の部屋に入ると幸せそうに枕を抱いて寝ている姉を見かけた。優しく背中を叩いて姉を起こすことにした。
「姉さん、朝よ
起きて」
「ふぁぁああ、もう朝?
おはよ」
リイナは、アンナとアドアに挨拶すると、ソララとバーテンダーが寝ているであろう部屋に入って行ったが姿はなくきちんと片付いてあった。
「二人なら、仕事があるって、私たちより先にでていったよ。
それより、お腹空いたよ。
ゴブ八もお腹空いてるんじゃないかな」
「あっ!!」
リイナは、ゴブ八にご飯を持っていくのを忘れてたことを思い出し絶句したのだった。
「忘れてたわ、ゴブ八のこと」
「「えっ!!」」
3人で慌てて宿をでると、正面の景色は来た時とまるで違う風景に驚いた。先におきていた女将と娘も驚いていたが、3人を見かけると嬉し気に寄ってきた。
「もう、出発ですか?」
「ええ、ちょっと用事を思い出して。
それより、見違えたね!」
リイナが言う通り森で囲まれ、いい意味で自然が溢れる外観だった正面は、全ての木々が倒され、入り口から村の全貌が見えるようになっていた。
正面には大通りがあり、一番近い店は、既に出来上がり看板だけが昔ながら老舗だと伺えた。対面には、まるで種色の違う洋風な飲食店がオープンしていた。ホテルの隣には、二階建ての大きな建物が建設中だった。他にもいくつもの商店が建設しており、その先にはだだっ広い広場が見えていた。
その奥で古臭い建物が続いており、人どおりは見えなかった。3人は、人気のない、その中にあるギルドを訪ねると入り口ではギルドマスターになったソララが出迎えた。
「リイナ様、アドア様、アンナ様。
お待ちしておりました」
ソララは、直ぐに出発するであろう3人に手短に2人の冒険者を報告した。2人は、3人が泊まったホテルの隣の宿に泊まっていて、工事をしていた人間が多数に見つけられていた。そして、ソララとバーテンダーがホテルを出ていくときに、二人がこっそりと村を出ていく方角に歩いて行ったのを眺めていた。
その話を聞いて、ソララだけには真相を話しておけばよかったと心底公開したが、後の祭りのため方向だけ聞くと軽くソララに挨拶をして、急いで向かうことにした。
直ぐにゲートに到着したが、村人は工事につきっきりで、周りには誰一人もおらず閑散としていた。ゲートの陰には、隠りきれていないゴブ八の姿が見えていた。
「ゴブ八、ごめ~ん」
「二人の冒険者は、一刻前に旅たったぞ、早く追いかけ……
ぐう~」
すべてが言い終わる前に、ゴブ八のお腹は限界だった。リイナはバックから弁当を取り出し、自分たちの分だけ取ると100食以上貯めていたお弁当を全てゴブ八に渡した。
ゴブ八は、受け取るとパンツの中に一個づつ入れていった。
「え!!
どこに入れてるの!」
「そうか?
ここに物が隠せるんだ」
話しながら、10食分をいれ終わった様子を見て、本当だと信じると、驚いている他の二人をいつものように抱えて、先に出発している冒険者を追いかけた。
一刻ほどでお腹もいっぱいになり、真剣に辺りを探すとリイナは、仲の悪そうな男の冒険者と女の冒険者の二人組をみつけた。
「あそこだわ、
ゴブ八、もっと左側に向かって」
「わかった、まかせろ!」
「私には、ぜんぜん、みえない」
「私もー」
アドアとアンナが、一生懸命目を凝らしてみていたが、影すらも見えなかった。半刻ほど進むとようやく、ゴブ八も見え少し進んだところで、二人も小さな点を見ることがができた。
アンナは、喜んでゴブ八の頭に腕を置いて立ち上がると目的の冒険者に向けて、指をさした。
「皆のもの~
目標はあいつらだ~!」
「アンナ何やってるの、
みつかるじゃない」
「あっ!」
「ほんと、ばかばっか」
アンナの雄たけびを聞くと、2人の冒険者は振り返り、気持ちの悪い一行が迫ってくること知って、森の中へと一目散に逃げていった。
「うぅ~
ゴブ八、とつげきー!」
だが、ゴブ八は言うことを聞かずにその場で警戒態勢をとった。
「いや、やめたほうがいい。
森が静かだ。
きっと、何かいるぞ」
「それに、空から何かが迫ってきてるわ。
ちょっと様子見しましょう」
それは、リイナ達が待ちに待ってたヒビキ一行だったが、ヒビキが知り合いに抱き着いてやってくることが見えると、どの隕石魔法を使うか考えていた。
だが、ひどいことにしかならなかったなと思いなおすと、魔法の行使は止めることにして、ゴブ八の肩から降りて仁王立ちで待つことにした。。
そして、二度とヒビキの傍からは離れないとキツク心に誓うと、目を開けていないヒビキに向けて3人で手をふり迎えるのだった。
次話から、4部がスタートします




