第451話 間話 乙女3人旅 4日目 ~こっちでも、とっちめることになるのね?
ギルドマスターが一人づつ責任者の所在を追っていくと、たどり着いた先は、反目しあっている古参の店主だった。
「これは、なにごとだ!」
「お前に話す理由はないな」
だが、全体の指揮で忙しい彼は、めんどくさくなり女将に聞けといい、追い払った。
ギルドマスターは深いため息の後、女将が居るであろうホテルに向かったが、そこには誰もおらず静まり返っていた。耳を澄ましかすかに声が聞こえる先に進んでいくと、楽し気な女性の声が聞こえてきた。だが、その部屋の前には、若い女の子が仁王立ちで行く先を阻んでいた。
「女将は?」
「まだ、帰ってきてない」
「奥にいるんだろう?」
「いないよ」
「うそだ!」
「勝手に入らないで!」
「うるさい、邪魔をするな」
何度かのやり取りをしても誰が居るかわからなかったが、意図的に隠していると解釈し、女将の娘のビビを突き飛ばすと、3人が楽し気にはいっている露天風呂へと侵入していった。
「きゃあー」
突き飛ばされたビビの叫び声が聞こえると、リイナ達三人は、露天風呂から上がり何事かと更衣室の戻ろうとしたところで、ギルドマスターを鉢合わせをした。
「お、おかみはどこだ!」
「ここには、私達3人しかおりません」
「うそだ、隠してるにちがいない!」
ギルドマスターは、立ちはだかる三人を押しのけ、それほど広くはない露天風呂を見ましたが目的の女性の姿はなかった。
アドアは、何も身に着けないまま、振り返ったギルドマスターの前に立つと、露天風呂にいても凍えるような一撃をいれ地の底へと落とした。
「ここは、リイナ様がお願いしたプライべートな空間です。
それを、男性のあなたが、強引に押し入ったことは、教会を通じ厳重に処罰してもらうよう報告させていただきます。
また、大陸を救ってらっしゃるリイナ様一行に対しての無礼千万な振る舞いも合わせて報告しますので、その沙汰、心して待・つ・よ・う・に!!」
アドアの威厳のある口上に、ギルドマスターが真っ青になると、女将と副ギルドマスターが慌てて駆け付けた。
「リイナ様、大丈夫ですか?」
「ええ。
特にどうともなってないわ」
「リイナ様、うちのギルドマスターがご迷惑をおかけしました。
大変申し訳ございません。
度重なるご迷惑をおかけしたこと、
大陸中のギルド職員にかわり謝罪の場を設けさせていてだけまでしょうか?」
「興味ないわ。
裸をみられただけだし」
「それでは、こちらの気がおさまりません」
「じゃ、女将さん親子には、迷惑をかけたようだから、
今月かかる全ての費用はギルド持ちにしてあげて」
「わかりました。
それで、リイナ様が納得していただけるのであれば」
「お、おれは、認めんぞ
そんな小娘が、大陸を救ってるなんて、あり得ないだろう」
リイナは、下目遣いでギルドマスターを見てから鼻で笑うと、少しだけ魔法を使うことにした。
「女将さん、露天が少し小さいわね、
風景も隣で流れる川が近いほうが、わたしの好みだわ」
「はっ?」
全員が何を言っているのかわからなかったが、リイナが魔法を唱えると正面の山が割れ、川の全貌が見えるように樹々がな薙ぎ倒された。倒れた樹々を火炎渦で焼き尽くし、山火事になりかけたが上空から水を大量に召喚して一瞬で鎮火させた。露天風呂の近くの河の一部を隆起させて滝を作り、小さかった露天の風呂の周りに大きな穴を作って岩を召喚して新しい大きな二個目の露天風呂をつくった。最後に、元の露天風呂をつなぎ、お湯が流れるようにすると、一つだったの露天風呂が二つへと変わって行った。
「リイナ姉さん、すごーい♪」
「さっすが、リイナ姉♪」
二人が裸で、手を取り合って喜んでいる中、ギルドマスターは腰を抜かし、女将と副ギルドマスターは、開いた口が塞がらなかった。
「どう、これで、全員がはいれるだけのキャパができたんじゃない?」
「や、やまを割るなんて……」
「女将さん、
料理準備できたから、呼びに来たんでしょ?
冷えたエールはあるかしら?」
「あー!
私も飲みたーい」
「は、はい、こちらです!
ろ、露天風呂、作っていただいてありがとうございます。
数刻後には、新しいお風呂にもお湯がうまるかと思います。
そうしましたら、再度ご報告させていただきます」
「いいわね♪
星をみながら、お酒を飲んでの温泉♪」
「あー、私もはいろっと、
ママも一緒に入ろうよ」
その様子に副ギルドマスターも関係を良好にしたいと乗ることにした。
「私もおじゃましていいですか?」
「いいわっていうか
ご飯も一緒にたべまようよ。
モモたちの話もききたいし♪」
「ええ、わかったわ」
水色の髪の副ギルドマスターは、従妹の名前が出ると自分がどういった関係なのかがばれていることを知ったのだった。




