第450話 間話 乙女3人旅 4日目 ~村の改革は、食事代?
一番初めに女将のアリサは、一番古く格式が高い店の店主に会いに行った。数日前から、大陸の影響で誰一人もお客さんがきていなかったため、とても暇で時間があった。
一通り話を聞いて、女将の希望通りにはいかず、食事の提供はするで一旦話が終わりそうだった。だが、最後に場所は変わるが建築費がギルド持ちで今の倍以上の広さでもよく、お金をアリサ達に入れる必要がないと聞くと考え直した。今の店舗は古くそろそろ建て替え時だが、工事期間は休まなければならないし、建て替え費用が思っていた以上に高額になるが、以前より手狭になることに頭を抱えていた。一歩踏み出す決意をさせたのが、ギルド持ちになりギルドマスターへ嫌がらせができることだった。
「いいだろう。君の下で雇われることにしよう。
建築は、明日でいいのか?」
店主は、もっと先を想定していたのだが、女将の言葉は、彼の想像以上に早かった。
「今です!」
「ばかげている!
が、おもしろい!!
ははは、請け負った。
あとはこっちで、全部やっておこう。
この村では、顔が利くからな。
その様子だと、まだ他のところに行くんだろう」
「はい、後二店舗です」
「きっと、くどけるだろうな。
そっちの建築準備も始めておくから、任せておけ」
「お願いします」
女将のアリスはとびっきりの笑顔を見せると、交渉がうまくいったことと、後の工程を全てやってくれることに肩の荷が一つおりたが、また気を引き締めると、次の店へと走って行った。
そのころ、小さな声で、この村で優秀な策士の店主は呟いていた。
「……
う~む
彼女のところへ続く道がよくないな。
3つのゲート全てから、移動できるようにすると面白いな」
店主が最後に町の通りすら変えることを告げたのだが、彼女の耳には聞こえていなかった。
次の店は、最近できたばかりだが、急激に人気が出てきた飲食店だった。この日も、数人の客が食事をとっていた。忙しい中、料理をしながら話を途中まで聞くと食事だけは提供できるが、移転は断った。立地のいいこの場所からは、移動したくないと判断したのだ。最後に自分の店が持てるといわれると今は借り物件だったことから、一瞬で移動することに決めた。
「どうすればいい?」
老舗の店主が、全てまとめてくれるから相談してくほしいと告げ、少し離れた三店舗目へと走り出した。
「……
お酒やパン、食材が近くにあるといいな。
いや、それよりも……
この村にはなかった、バザーができる場所のほうがいいか。
……作ってもいいのか?」
最後の提案は、耳に入っていなかったが、手をふると了承を得たと解釈し、古い店主に相談することになるのだった。その店主は、なじみの店主たちにも声を掛け移動を説得させた。そして、近くには誰でも無料で使える大きなバザー会場ができるように、工事監督に更地の指示をだした。
最後の目的地は、この村で唯一の酒場だった。料理も美味しいが、ここで提供されるオリジナルの酒が人気で他の町からも飲みに来るぐらいだった。
今も店を埋め尽くしそうなほど村人でいっぱいだった。いくつかの食事とお酒を持ち帰らせるから、それをもって帰れと威圧的な返答が返ってきた。だが、契約が自由であり建物は作ってくれるといわれるとしばし黙り一考し、支店でいけるのではないかと考えなおした。
「もう一店作るでもいいのか?」
「ええ、大丈夫です」
「大きさは?」
すべてが自由に作れると聞くと、今以上の建物をお願いすることとして、今後の儲けの算段をすると笑いがとめられなかった。あとは、古参の店主と話をしてほしい旨を伝えて店を後にした。
「……
二階にカジノを作ってもいいのか?
飲みながらのかけ事っていけるとおもうんだが?」
既に一件目と二件目の店主から、料理を取りにいくことで頭がいっぱいだった女将は、生返事をすると店に向かって走って行った。
既に二店の店の料理はできていたが、一件目の店では代わる代わるいろんな人が来ており、活気で満ち溢れていた。それもそのはずで、数日仕事がなく家で大陸の安全を祈願していたところに、大量の仕事がやってきたのだ。納期が緊急ということもあり、賃金がいつもの5倍以上ももらえると判ると村人で動ける人間全員がこの一大事業へと参加していった。
宿の前の工事は、村の最初で最後の最大工事イベントに村人全員がやる気を出していた。
「村がかわる!村がかわるぞぉ!」
工事者全員が合言葉のように叫びながら工事や建築を行っていると、流石に様子がおかしいとギルドマスターが宿にやってきた。




