第448話 間話 乙女3人旅 4日目 ~結局貰い放題にはさせてくれないよね?
モンザは、久方ぶりに女性と会話をしなければならないかと思いやや緊張していた。リイナ達一行は、恥ずかしそうに海側から戻ってくる残念な大人をじぃーと見つめていた。
「す、すまん、水上都市の方角をききたいんだが……」
「いいよぉ」
「さっきは、助かりました。
水上都市の方角はこちらをまっすぐ行った……」
「そうか、ぐぅ~」
三人と一匹がおいしそうな弁当を食べているのをみて、モンザのお腹は限界に達していた。日が昇る前から走り続けたことによって、胃の中はからっぽで、お腹は主人の思いと違い勝手に鳴いていた。
三人は、緊張が解け、一緒にランチに誘わったが、本人は恥ずかしさでいっぱいで、少しでも早くその場を去りたかった。だが、断ろうと思ってた矢先に、弟子のヒビキ君の知り合いであることを告げられると、共通の話題で会話できるかもしれないと思いなおし、お誘いをうけることにした。
三人が楽し気に代わる代わる質問してくるため、それほど長くヒビキと居なかったにも関わらず、感想を交え素晴らしい人物であると盛ると三人とも喜んでいた。生涯で一番女の子と話す機会が持て、大いに自身をもつと、今後の告白に向けて勇気が持てた。ゴブ八以外のお腹がいっぱいになると、モンザは、自分の旅の目的を告げると、リイナはうなくいかないと思ったが、頑張ってとしか、応援するしかできなかった。
「おいしい弁当ありがとう。
ヒビキ君にあったら、よろしく伝えといてくれ」
「わかったわ。
うまく会えるように祈ってるわ」
「「じゃあね」」
「戦闘さすがだった」
「ははは。
では!」
モンザは、町から橋をわたりぐるっと回るルートを教えて貰ったのだが、最初に教えてもらった方角に向かって走って行った。
「あれ、町にいかないのかな」
「いくでしょ、
砂浜を走りたいんじゃない」
「鍛えるため?」
アドアとアンナが話している中、モンザは渚に到着すると海面を走り始めた。
「リイナ姉、
走ってる、走ってるよ」
驚愕する三人の中、モンザの姿は高波によって直ぐに見えなくなった。
「もしかして、夢でもみてたのかな」
アドアが、アンナにほっぺを摘まれながら、キャッキャしている中、全員でゆっくりと村に向かって歩き始めた。時間がかかりすぎたため、今日中に村を超えて町へは、難しいと判断して、みんなで風景を楽しみながらゆっくり歩いて向かうことにした。それでも、敵はでてきたが、一刻で一体くらいの割合だった。かなり順調に村に進んでいき、日が落ちる前には、ルンガポの村に到着することができた。
ゲートの前の人が見えるとゴブ八は見つからないように、静かに森の方へと消えていった。
ゲートの前では、ギルド職員が、昼前からずっと待っていたのだが、聞いてた話と異なりぜんぜん現れる様子がなく大慌てだった。お昼を過ぎ夕刻が近づくにつれ、何かあったのではないかと心配していた。心配していたのは、届くはずの物資のほうだが。姿が見え始めたときは、歓喜の声をあげてギルド職員たちは喜んでちかづいてきた。
「リイナ様、アドア様、アンナ様、
お待ちしておりました。
まずは、ギルドへ」
ロッシュパのギルドマスターのやらかしから、二度と同じ失敗をしないように大陸一のギルドマスターから厳命されていた。しかも、かかるお金を全て持つようにと何度も念を押されていた。
ギルドに到着し持っていた物資を渡し、ここでも、謎の二人の冒険者が来ているか調べてもらえるようにお願いした。本来なら、たかが冒険者の依頼を断るはずだが、全ての事項に対し聞くように厳命されていたこともあり、しぶしぶ受けることにした。そして、ギルドマスターは、ここでも食住をギルドがもつことだけをつげ、かかるお金を全て持つことを隠したのだった。その場にいたギルド職員から、反対の意見がでなかったことにより、リイナ達はその事実を知ることはできなかった。といっても、彼女らの欲しいものは、アンナの武器のみで、他は全く興味がなかった。また明日出発するときに寄ることを告げると、ギルドをでてどこに泊まるかをみんなで決めることにした。
「リイナ姉、
今日はどこにするの?
高いとこ?」
「そうね、見回しても、これだ!ってのが、なさそうね」
「じゃ、ゴブ八と連絡しやすい、森のほうがいいかな」
「りょうか~い」
リイナの意見により、誰も歩いていない村を横断し、自分たちで探し始めた。その頃、ギルドでは、町と違いギルド職員も少ないため全員が探しに行きリイナの相手をするだけの余裕はなかった。しかし、リイナ達は、束縛されずに自由に動ける分、そちらのほうが都合がよかったのだった。




