第447話 間話 乙女3人旅 4日目 ~敢えて名乗らないのがダンディズムだっていう人いるよね?
「人間がひとりくるぞ」
「そうね、わたしたちの後ろにさがっときなさい」
「強いの、ゴブ八?」
「人間は、強さがよくわからない」
「そっか。
助けなきゃ、いけないかも。
リイナ姉さん、どうするの?」
「こっちも余裕がないし、どうしよう……」
リイナが結論がでず、悩んでいる間にヒビキの格闘術の師匠であるモンザは、山からでてきたのだった。リイナ一行は、全く見覚えのないその辺りにいる禿げたおっさんに、希望は絶望に変わった。
モンザは、正面にいた鬼人の二匹と奥にいる3人の女の子、そして隠れるよううとして隠れていない珍妙な生き物で状況を判断すると、鬼人に向かって戦闘態勢をとり走り出した。
モンザは、対峙すると渾身の一撃を、吽神のみぞおちに向かって左腕で、正拳を繰り出した。吽神はいとも容易く、上空に方向を変えさせ勢いのまま必殺の左肘のカウンターを逆にみぞおちに放った。その後ろからは、阿神のミドルキックが、モンザを襲っていた。みぞおちに当たる前に右手で受けながら後ろに飛ばされると、後ろにとばされながらもミドルキックが襲ってきた。阿神のミドルキックに足をかけて飛び上がると、二人を乗り越えながら全宙し3人と、阿神・吽神の間に着地した。
「む!
我と同等くらいに強いやもしれん」
「がんばってー!
はげのひとー!!」
アンナが見も蓋もない発言をしていたが、当人のモンザは戦いに集中しており、耳にはいってこなかった。
その中、モンザは今のやり取りを口に出しながら分析していた。
「なるほどな、青いやつと強激とは相性が悪そうだ。
そういや、ヒビキ君が人に合わせてっていってたな。
少しわかってきたかもしれん。
よし!試してみるか」
モンザは、迫ってこない二匹に対し一気に近寄り自ら仕掛けていった。左手を上に向け、左腕の力だけでこぶしのみを吽神の顎に向けて撃って行くと、吽神が前回し受けで躱そうとしたため、打つ振りの腕をやめ、吽神の腕を両腕掴むと、体全体で一回転すると吽神の右ひじの靭帯は断裂しだらんと下に落ちていた。阿神はいつものように隠れながら、モンザに襲い掛かっていた。回転していたモンザに向けて手刀を繰り出していたのだ。吽神の右ひじが壊れた同時に、モンザの頭に阿神の手刀が迫っていた。モンザは、目の前にあった吽神の足首を掴むと、地面すれすれに真後ろに下がりながら、バランスを崩して伸びた右足に、全体重を乗せた肘の一撃いれると、吽神の膝が、くの時に折れた。
モンザは、阿神と吽神から距離をとり全神経を集中し、右手刀を前に、左券を頭に構えるとモンザ式前座の型をとった。モンザが最終奥義のために準備をしている間、吽神は兄の肩を借りて立ち上がると最後の戦いに向けて準備をした。
「モンザ式格闘術
最終奥義 海嵐連撃!」
ゆっくりと吽神に近づいていくと喉仏に突きをいれたが、想定通り受けでかわそうとしたところを、受けられる直前で左手を引くと、右ひじを下から顎にかちあげるように打ち抜いた。阿神からの攻撃を受けないため、吽神の対角線上移動しながら、ガードできない左わき腹に左フックをいれた。体重をのせたその一撃は、深々とつきささり、何本ものろっ骨が砕け散った。引き抜くと同時に、横に移動しながら、無傷の右足の太ももを打ち下ろすように右ひじで叩き折ると、その場に崩れ落ちた。阿神は、攻撃線状の邪魔だった弟がいなくなると、本気の右ストレートをモンザに向けて放った。モンザは、躱しながら前にでて皮一枚で避けるとそのまま阿神の画面へと頭突きを放った。悶絶して後ろに下がったところに、胸板に左肘を入れて陥没させ、胸を見るため視線を下にしたところを、右掌打で顎を打ち抜いた。膝から崩れ落ち頭がさがったところに、飛びながら必殺の踵おろしで後頭部ごと地面に埋没させた。それでも、まだ討伐されていない阿神は、悶絶しながら最後の一撃を上にいるでえあろうモンザに突きを放った。モンザは、カウンターを放つため、右に避けようとしたが、吽神に足首を掴まれ避けることができなかった。カウンターをやめ、強引に膝を地面につけ、ブリッジの失敗のように膝を曲げて、ぎりぎりのところで胸上を通過した。通過すると同時にのを確認すると腕を絡ませ、吽神の上に刺さるように誘導すると、頭くだけ光の粒子へと変わった。両足の自由が利くと、地べたにいる阿神の首に、全力の足刀で折ると光の粒子へと変わって行った。
モンザは、息を整え構えをとき、宝玉と戦利品をしまうと、リイナ達を見ずに、海に向かって走り出した。
お礼を言おうと近寄ったリイナ達だったが、禿げの背中は、海の上を走り始めていた。
「あら、話そうとしたら
行っちゃったわね。お礼言おうと思ったのに」
「だね。
なんか、ヒビキ兄さんとモモって叫んでなかった?」
「あー、私もきいた。
関係性をききたかったね」
「我は、それより、お腹がすいた。
なんか、とっても、疲れた」
3人が安堵も含めてきをゆるすと盛大に笑い出した。
「はは。
敵も居なさそうだし、腰を降ろしてご飯にしよっか」
3人と一匹が、空腹を意識したころ、自分が行く先がこの先で会ってるか不安になり、苦手な女性パーティの元に聞きに戻るモンザだった。




