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僕は、この出会いに感謝する!!  作者: 寿々樹ノ葵
第三部 巨獣討伐
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第446話 間話 乙女3人旅 4日目 ~運が悪いときは、いつだってあるよね?

 いつものようにゴブ八二人を肩に一人を両手で運びながら、3人に交互に食べさせてもらいながら、勢いよく村に向かって進んでいた。一日暇だったゴブ八が周りの敵を倒していたため、食べている間は、一体も寄って来なかった。だが、二刻ほど過ぎて、お腹が膨れたころ、森は静まり、ゴブ八は自分と同一ランクの敵二体を感じたり、3人を降ろした。

「何?ゴブ八」

「リイナ殿

 テキだ、それもかなりの

 ゴーレムの比ではない」

「まだ、そんな敵いるの?」

「ねぇ~」

「……

 きたぞ!

 全員、我の後ろにいろ!!」


 それは、二体の鬼神だった。赤色と青色の兄弟鬼が、冒険者によって進化させられ対の新たな魔物へと生まれ変わった。攻の兄、守の弟と役割があり、お互いの弱点を思念によってカバーすることで最強の存在へと昇華した。体躯は、ゴブ八より頭一つ小さく、ドワーフの王モーリスを一回り大きいくらいだった。ゴブ八のように上半身が大きく進化したいびつな形ではなく、全身がスムーズに動けるように均等に発達していた。


 青色の肌をした弟鬼は兄鬼よりほんの一回り小さくて吽神、赤色の肌で兄は阿神といい、4人を見かけると、吽神を先頭に少し後ろから阿神が、襲い掛かりに行った。


 ゴブ八は、先制攻撃と称し、4本の腕のうち二本の左腕下で、吽神の顔面に向かって殴りかかかり、右腕上は、後ろにいた阿神に対し手刀を繰り出した。正面に立った吽神は、ほんの少し力の方向を変えて、簡単に攻撃を避けるとギブ八の左腕下の腕力を利用し、回転しながら右腕上の手刀に蹴りを入れようとしていた。阿神は、右腕上を避けながらカウンターで、全体重を乗せたミドルキックをゴブ八の脇腹に入れたが、ゴブ八は右腕下でガードされたことで、ダメージは受けていなかった。だが、阿神と吽神の狙いは、攻撃してきた右腕上だった。内側からは、吽神の蹴りが、阿神は、外側からブロックした腕に足をかけバックハンドブローを放ち、内と外から同時攻撃を肘に受けると、ゴキッと曲がらない方向へ曲がってしまった。

「ぅぐっぅ~」

 ゴブ八は、曲がらなくなった右腕上を引き戻せずだらっとさせながら、若干距離をとった。リイナとアドアには、何が起きたかまるで見えなかったが、下がってきたゴブ八が怪我をしたことは判った。

「回復!」

 その様子に直ぐにアドアが、ゴブ八に回復魔法を唱えると全回復し、最初と同一となりゴブ八は、次の戦闘に備えて構えた。その間に、リイナの魔法の準備整うと、一歩前に出て唱えると同時にゴブ八も距離を縮めた。

「火炎玉!」

 吽神は、自身に向けられたリイナよりも大きなサイズの火炎玉を前に、吽神に向かってメガトンハンマーを放とうとしたゴブ八の上半身に向かって、火炎玉の方向を反転させた。急に目の前に現れた火炎玉を残っていた両腕でガードすると、がら空きになった下半身に目掛け、阿神が全体重を乗せたドロップキックを膝に当てると両膝が壊れ地べたに尻もちをついた。下両腕は火炎玉で黒焦げになりうごかせず、両足は粉砕されひくひくと動かせる程度だった。阿神と吽神は勝利を確認し、とどめを刺さずにゴブ八を見下ろしていた。

 この時の若干の時間で、アドアは先ほどよりも高い回復魔法を放ち全回復させると、ゴブ八は後ろ向きに飛びながら、戦闘態勢をとった。

「ごめん、ゴブ八」

「いいのだ、

 アドア、ありがとう」

 この後も、ゴブ八は二刻ほど攻め続けたが、一撃もダメージを与えられなかった。4人を何度となく全滅させるチャンスがあったが、二匹の魔物が追い打ちをかけてくることはなかった。二匹のコンビネーションは、後の先を元に練られており、先行で攻めた際の相打ちを恐れて攻め切ることを辞めていたのだった。

 そんななか、一切攻撃に参加できないアンナは地団駄を踏んでいた。

「うぅ、歯がゆい。

 私の武器はなんでないの!

 私が攻撃できれば」」

 アンナの武器さえあれば、1対1に分断することができ、ゴブ八が一方的に負けることがなかった。アンナの武器が折れてさえいなければ、こんな苦戦などしなかったのだ。これが、リイナ一人での旅路であれば、近づいてくる手前で、全体魔法で阿神は必ず葬ることができ、残った一体は連弾によって簡単に討伐ができた。


 先ほどもリイナとゴブ八の連携は悪いように決まり、ゴブ八はリイナの魔法で、ズタボロになっていた。

「兄者、そろそろ、とどめを刺してもよいきがする」

「そうだな、反撃されそうもなさそうだしな」

 二匹の意見が一致する中、山から何者かが猛烈な勢いで駆け下りてくるのが、全員わかった。それが敵か味方か誰も判らなかった。だが、3人には、聞き覚えのある名前が聞こえ、理解さえとれれば敵になることはなかった。そして、事態がすこしはよくなるんじゃないかと期待した。


 その叫び声は、だみ声で静かな森の中に響きながらこちらに向かっていた。

「モモおじょうさ~ん、待っててくれ~!

 ナナさん、エドワード、ヒビキくん、俺の雄姿を!俺の成功を!!祈っててくれ!!!」

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