第443話 間話 乙女3人旅 3日目 ~知らない人が裸で待ってるって思うとぞっとするよね?
リイナは、自分たちの身を案じてくれたギルドマスターにお礼を述べることにした。
「ギルドマスターありがとう。
明日の朝一で出発するわ」
「そうですか、
お気をつけてください。
今日も、お好きなところを泊まっていただいて、かまいません。
滞在費は、もちろん当ギルドで持ちますので。」
「え、いいの?
やった!!」
「もう、いろんなところの宿から、
箔をつけたい、紹介してくれと、殺到しております。
こちらでは、選べませんので、気に入ったところをお選びください」
「昨日の酒場は、本来は夜からの営業なんですが、昼からリイナ様、アドア様が使われた席をみたいと殺到し開いております。そのぐらい、今この町では注目されております」
リイナは席座ったっけ、アンナはなんで私の名前がないんだろうと思い、アドアは話を盛りすぎたな今日はちょびっとだけ自重しようと思っていた。
「このあと、昨日に引き続き、酒会を予定しておりますので、来ていただけませんでしょうか?」
「そうですね、考えさせていただきます。
できる限るいい返事ができるように検討いたします。
アドアは、偉そうに返事をすると二人に近寄り、ギルドをでた。出た先でリイナは、しばらくゆっくりしていないことに気づき、二人に今日の泊まる候補を伝えた。
「今日は、町で一番のところに泊まろうかしら」
「え、やった!」
「いいの?」
アドアは、ゴブ八のことが頭をよぎったが、わざわざ、街はずれでなくても、こっそり彼の所にいけるだろうと思っていた。だが、実際はどこかに行こうとすると誰かしらが後ろに付いてまわり、一人っきりになることはできなかった。ゴブ八に食べ物を渡しに行けず、次の日に三人で謝ることになるのだった。
そんな未来のことより、三人の頭の中には、数日入れていなかったお風呂で、頭がいっぱいだった。しかも、全ての宿と飲食が無料のお墨付きもつき、ここぞとばかりに一番いい宿のお風呂に期待がいっぱいだった。だいたいの町が中央が一番高いと思っていたリイナは、三人で町の中央へと歩いて行った。直ぐに、想定どおりの別格で大きく立派な建物が見えてきた。
受付で、3人が名前を出すと、オーナーが奥からやってきて、これ以上はないという笑顔で、何も言われないまま、一番高い部屋いへと連れて行かれた。
部屋や施設の紹介がなかったが、一枚の紙を渡され直ぐに下がって行った。そこにはこの施設になにがあるが一目瞭然だった。
「いいわねぇ、楽で。
すこしゆっくりしたら、いくわよ」
「「あ~い」」
三人が、柔らかいソファーに座ると、そのままぐったりと座り緊張がとぎれたことで、一刻ほど眠ってしまった。熟睡していたことで、ホテルにいることが町中にちたわり多数のファンが押し寄せていたことに気づいていなかった。
「ふぁぁ、
さぁ、いくわよ。
きっと、だだっぴろい大浴場があるに違いないわ!」
「「やったー!
おんせんだーー!!」」
二人が手を取り合って喜んでいるなか、階段から大浴場のあるフロアに行くと、そこには、入り口に数人が待っていた。
「なにかしら?
なんで入らないのかしら」
リイナの疑問に思いながら更衣室に入ると直ぐに理由が判った。更衣室は、百人は使えそうなくらいに広かったが、開いている棚を探すことが困難なほど、どこも埋まっていた。ようやく空いているロッカー一つに三人分の荷物をいれ、大浴場に入ると、人で溢れかえり、洗い場も何人もの人が洗えないまま待っていた。
「なんでこんなに、混んでるの?」
リイナの独り言に似た一言に近くの男女が返事をしてくれた。
「知らないの?
今、町で話題の伝説のリイナ様とアドア様が、泊まられてるのよ。
話では、間もなく降りてきて、この大浴場を使うんですって。
一緒に大浴場に入れるチャンスなのよ」
「そうだよ。
お嬢ちゃんたちも、聖女様と大魔法使いを見たいから、無理して宿をとったんじゃないのか?」
三人は、ぎょっとすると、バレないようにこっそりと更衣室に戻り、部屋に付いているお風呂を使うことにした。
「残念だったね、リイナ姉」
「そうね、
あの部屋のお風呂っておおきかったっけ?」
「聖都のうちの家ほどじゃないけど、大きかったよ」
「仕方ないわね、それで手を打つしかないわね」
のホテルで大浴場以外では一番大きな部屋風呂で、10人以上が一度に入っても足が広げられることに気づいていなかった。静かに最上階にあるスィートの部屋に戻ると、脱衣所に付く前に、三人は脱ぎ始めた。お風呂は常に温泉がはいっており、満足すると3人で仲良く体を洗い始めた。
「最初から、ここで、よかったわね」
「だね、十分だよ」
「リイナ姉さん、むこう向いて背中洗ってあげる♪」
久方ぶりに一緒に入れることを喜んでいる妹をみて、リイナは頬をあげると、もっとゆっくりした旅にすればよかったかなと考えて後ろを向いた。洗い終わりお湯を流してもらうと、今度は、アンナの背中を洗い始め、アドアの背中をアンナが洗うと三人で直列に並んだ。リイナは、ヒビキなら、湯舟につかりながら、見ないふりをして、目線だけこっちにしてじっくりと観察するんだろうと思い、笑い出すと二人もうれしい気分になりつられて笑ってしまった。
「いいわね、たまには♪」
「「ふふふ♪」」
リイナは、旅の汚れを全て洗い流し、疲れもとれるとゴブ八のことが気になった。既に陽が落ち真っ暗だったが、窓から外を見るとゴブ八の居るであろう森の方が見た。視線の先の森では、風に揺られて樹木が物悲し気に揺れていた。
「あそこに、ゴブ八がいるのかもね」
「いるのかなぁ。お腹すかせてるかも」
「そろそろ、夕食時だもんね」
アソアが想像していた通り、お腹を空かせたゴブ八が、リイナの姿を見つけ大木を引っこ抜き、揺らして存在を示していた。その顔は、空腹で涙がながれていた。これがお風呂ではなく、部屋の窓からであれば装備を外してなく、リイナの遠視によって直ぐにわかったのだが、裸という点が彼からしたら不幸だった。




