第442話 間話 乙女3人旅 3日目 ~ただ待つって辛いよね?
「今、ギルド職員全員で、聞き込みに行ってますので、
少々こちらでお待ちください。
絶対!満足いく結果がだしてみせます!!」
そう言われては待つかしないと、二人で少し待つと、間もなくアンナがやってきた。その後、三人でギルドの一角にちょこんと待っていたが、まだかかりそうだったので、朝ご飯になりそうなお弁当をチョイスし、食べ始めた。一番最後まで食べていたアドアが蓋を閉めたところで、慌てて入ってきたギルド職員による一報がはいってきた。似た感じの二人組を森に行くところをみたといった内容で、残念ながら昨日の情報だった。とりあえずは、空想ではなくほんとにいたことが判ったため、一歩前進はしたと思うしかなかった。
アドアは、退屈になりリイナに質問することにした。
「リイナ姉。
まだ、ここの村にいるの?
先に行ったほうがいいんじゃない?」
「だめよ。
ここで、元凶を食い止めるほうが、ヒビキ達と合流するよりも、大事だわ。
見つけられなかったら、また、もう一周になるかもしれないじゃない」
「そっか。
じゃ、どっちに向かったか、必要だね」
「そうそう。
慌てず、待ちましょ」
そんな風に納得した三人だったが、こらえ性のない彼女らは、一刻ほど経つと、さっきと意見ががらっと変わっていた。
「やっぱり、行けばよかったわ」
「でも、食い止めたほうがって」
「一緒に合流して、ふたたび探したほうが、ヒビキがいいアイディアだすに違いないわ」
「もう少し待とうよ、リイナ姉さん」
しかたなく納得し3人で更に一刻ほど待つと、今度は、アンナが堪えきれなくなった。
「リイナ姉さん!
もう限界。
武器屋にいってもいい?」
「いいわよ。
そろそろ昼時ね。
ついでに、ゴブ八に、お昼渡してきて。
昼出発できるか、わからないから」
アンナは、二つ返事で、ギルドを飛び出すと、近くにある武器屋を見に出ていった。どれもこれも、特徴のないレイピアで、大枚をはたいて買うのが馬鹿らしく、戦闘は姉とゴブ八に任せることに決めた。この決断がパーティを危険にするのだが、流石に想像はできなかった。森にいるであろうゴブ八の元にゆっくりと向かっていった。ゴブ八はといえば、たまに来る敵を倒しては、またじっと座って待っていた。じっとしていても、徐々にお腹が空いてきており、次の配給はまだかまだかと待っていた。そんなおり、数刻は後になってやってくる思ってアンナの気配を感じどった。
ゆっくりと森の奥から、村のほうに近づくと声を掛けた。
「アンナこっちだ」
「あー、いたねぇ。
まだ、二人の冒険者がみつからないのよ」
「そうか、ちょっと待て。
……
うむ、我が調べた感じでは、海側にいるな。
そっちを集中して探すといい」
「ありがと。
なんかわかったらまたくるわ。
またせてごめんちょ」
「いい。
ご飯が貰えるしうまいからな」
アンナは、10食程置いていくと、そそくさとギルドに返りゴブ八から聞いた情報を二人に話した。アドアは、一考すると、大げさな演技をした後、膝を着いた。両手を天に仰ぎ、まるで神のお告げで海側にいるとギルドマスターに教え、重点的に探してもらうことにした。一部のギルド職員の羨望の中、ギルドを飛び出した行った。10人以上のメンバーで、海側の宿やホテルをしらみつぶしに探していると、自分たちを探していると悟った二人組は、見つからないようにこっそりとホテルからでることにした。隣の村のルンガボに向けて出発を決めたのだった。
少し経ち、3人がお昼を食べ始めた頃、ゆっくりと慎重に町を出ようとしていた二人は、一人の町人に見つかったが、笑顔で一礼し先に進んだ。しかし、この町人よって、ギルドに向けて情報が連携され、どちらの町へも逃がさないように、町の境界線には、ギルドの職員が待機したのだった。
流石に海の中までは、ギルド職員も配置できなかったため、穴を見つけると海の中を泳いで町からでることにした。流石に海中を追っていけないギルド職員の前を悠々とゲート奥の砂浜におりたち、歩いて次の町へ向かっていった。直ぐにその情報は、ギルドマスターへ、そしてリイナ達へと伝わったが、二刻もすれば、陽が落ち強敵のいる野営となることがわかってたため、ギルドマスターは3人の出発を控えさせた。
実際は、ゴブ八の足であれば、深夜になる前に村に到着できたのだが、3人はゴブ八の存在を伝えることはできなかったため、町に留まるしかなかった。




