第438話 間話 乙女3人旅 2日目 ~話の盛りすぎは、たまにピンチになるかも?
ー刻ほどが過ぎ、ゴブリンに抱きかかえられ、出番のないアドアは、上にいるリイナとアドアに話しかけた。
「まったく苦労がないね」
「それは、姉さんとゴブ八がいるから」
「そうだよ」
三人が、和やかに会話をしながら、食事をとってないことを気づきバックから取り出すと、手が使えないゴブ八に交互に料理を食べさせていった。三人は、交互だったがゴブ八は休む間もなくずぅっと食べ続けていたが、一刻の間食べ続けたことでようやく満腹になった。昨日は満腹までいってなかったが、今日は、昨日も大量に食べたことで、いくつかの弁当を残すことになった。その間も、たくさんの強敵が遅いかかかってきたが、簡単に倒し、倒した後には魔玉やアイテム落ちていたが、拾うことなく全て放置していた。その中には、ヒビキの時のように一国になるような代物もあったが、誰もその価値にきづけていなかった。
満腹になって三刻が過ぎようとする頃、村が見えてきた。ゴブ八に持っている弁当を全てわたすと、別れをつげて、村人に見つかる前にいったん別れ、三人でギルドに向かっていった。流石に想定の倍以上のスピードで到着したことで、本人かどうか疑われたが、物資を手渡しアドアの素晴らしい口上により、本人であることを理解してもらえた。今回も2十食以上の弁当をお願いし、色々な料理店をギルド職員が駆けずり回ってもらっていた。既に町から話をきいていたため、到着する前にはほぼ準備を終えていた。すべてが集まる間に、リイナが討伐した巨大生物を手取り足取りオーバー気味にアドアが説明すると、話を聞いていたギルド職員全員が、リイナのファンになっていった。その説明の間にアンナは、武器屋にいき、代わりになりそうなレイピアを探したが、あまりの質の悪さに、諦めるしかなかった。
すべての弁当を受け取りアドアは次々とバックにいれていった。アンナがつまらなそうに帰ってくると別れの時となり、アドアとアンナには軽く挨拶する程度だったが、リイナだけは、残っていたギルド職員の熱い握手が次から次へとやってきて、出発が遅れる原因になった。このままでは、一刻はおくれると感じたリイナは、握手をしながら、ゆっくりとゲートに進んでいったが、それでも、握手をしたがる列は増えていく一方で、きりがなかった。流石に、危険な外まで行って握手したい人達はいなかったため、ゲートぎりぎりに人が列となり全員が大きく手を振って、最後までリイナ達を見送っていた。
ようやくギルド職員の姿が見えなくなったところで、ゴブ八が現れた。彼は、少し遠出をして、周りの強敵を狩っていた。そのため体中に生傷をつけていたが、アドアは気づくと回復魔法を唱えると直ぐに全回復していった。先ほどと同じように、3人を抱えると、貰ったお弁当を食べながら、襲ってくる強敵をまっていたが、事前にゴブ八が倒しているため、一刻が過ぎ去ってても、強敵はあらわれなかった。
リイナ達の出番がないまま、歩みはすすみ。3人が弁当を食べ終わりのんびり風景を楽しみながら、二刻がすぎるころ、今までで一番大きな敵が現れた。それは、遠目から離れていても巨大だと思える程の岩の化け物で、リイナ達に向かって転がってきていた。そして、魔物探知機のゴブ八が、強さを理解し口を開いた。
「あれは、我でも苦戦しそうだ。
逃げたほうがいい」
だが、リイナは、自信満々に二人と一匹に語り掛けると、ゴブ八の頭でバランスをとって立ち上がった。
「ふ~ん、そろそろ本気がだせそうね。
みていなさい!!
……」
リイナは、魔法本を取り出すと、後ろ側のページを開き、上空を見上げ魔法を唱えた。
「小隕石落鳳凰!!!」
それは、転がってくる岩よりも大きな隕石が、炎を上げながら、天空から落ちてきた。アドアとアンナは、驚きのあまり開いた口が拡がり、ゴブ八は恐怖のあまり立ち止まっていた。それでも、3人のほうにやってこないのはわかっていたため、行く末をみていると、隕石が巨大岩を押しつぶし凄まじい爆音が聞こえたことで、二人と一匹はようやく我を取り戻した。岩の化け物を簡単に押しつぶした隕石は、反対側の山に跳ね返り転がって行った。それが、ヒビキたちに向かって転がり、生死を揺るがす大問題になることは、流石のリイナも気づけなかった。




