第429話 エドワードとナナさんを見送ってみよう
「ナナ殿……
い、いや……
ナナ!
俺と一緒に来てくれ!!」
エドワードは、片手の手のひらを上にして彼女の前に差し出すと、彼女の手が自分に来ることを祈っていた。
ナナさんは、少し照れ笑いを浮かべ恥じらい出したが、一瞬真剣な表情になったが、またすぐに笑顔に戻った。
「ふふ♪
いいわ、
一緒に行ってあげるわ♪」
ナナさんが、手をエドワードの上にのせると、エドワードは指輪をナナさんの指にはめていった。はめられた指輪が上にあげると二人の女の子が黄色い声援が上げていた。
「あ、ありがとでござ……
ありがとう、ナナ!」
「まぁ、口調はあとで直せればいいわ。
それよりも、さっさと、旅立つ準備をしなさい♪
私が、ちゃんと連れていってあげるわ」
「わ、わかったでござる」
エドワードが魔法の絨毯をひろげている間、ナナさんは、リイナに近づいて行った。
「りぃちゃん、ちゃんと、ヒビキ君を捕まえとくのよ、
ほおっておくと、誰もかしくも寄ってくるからね」
「わかってるわ、ナナねぇ
ナナねぇも、げん……
ひゃあ」
ナナさんは、背中につけていた液体金属型盾を、リイナへと移譲したようで、それは背中へとまわっていった。
「それが、あれば、今日みたいなことがあっても、ちゃんと守ってくれるわ。
怪我しないようにね。
私は、冒険業は引退するしから。
じゃ、ヒビキ君、あんまり、リィちゃんを泣かせないでね」
「うっ……
肝に銘じます。
二人とも気をつけて」
「ええ、わかってるわ。
任しといて」
「準備できたでござる!」
広がった魔法の絨毯の上で、ナナさんが胡坐を組むと、太ももの上にエドワードを乗せた。
「じゃ、
ヒビキ君、また、いつでも、王都にいらっしゃい、
二人で待ってるわ」
「そうでござる。
また、一緒に武器を作るでござる」
「うん、わかった。
じゃあね!」
僕が最後に話をすると、二人をのせた絨毯は、ゆっくりと浮かびあがり、あっという間に山の上を超えて飛び立っていった。
アドアとアンアは、乙女の表情で二人の幸せを羨ましがっていたが、リイナと僕は、ぽっかり穴があいたようだった。
「ふぅ、寂しくなるわね」
「そうだね。
あっという間にこっちを見ないで旅だったね」
「そうね。
そうそう、ヒビキ!
わたしにも、さっきの付いて来てくれてってやつやってもいいのよ」
リイナの言葉を聞くと二人の乙女が、こちらを凝視し、やらないとその場がおさまらない空気が醸し出した。
「ほんとに、やるの?」
「なに、嫌なの?
わたしと一緒じゃ、い・や・な・の?」
急に下目遣いで、涙目でこちらを見られると、もはや、逃げようがないようで諦め始めたところで、遠くで走ってくる人の気配が感じた。
「リイナ、
僕と一緒に……」
「ぜぇぜぇ
りっちゃーーん、ヒビキさーーーん
大変なのーー」
全員が、走ってくる人影を見たが、まだ、誰がきたかはんだんできなかった。だが直ぐに誰がきたか判断できる材料がやってきた。
「すぅちゃんが……すぅちゃんが……
大変なのーーー」
僕の発言は、最後まで言うことができず、しばらくぶりにあったシスターの大きな胸だけが上下に揺れていた。
この後、僕の最後の冒険が始まろうとしていたことに、この時の僕はまだ知るよしもなかった。
ここで第三部終了となります。閑話の後に、最終部が始まります。




