第425話 最後の二体を倒すところをみてみよう
一匹の獣とシルキィの間にいたおじいちゃんが、フルフルと震えながら、こちらに手招きをしていた。
その横で、にこやかにほほ笑んでいるシルキィがとなりのおじいちゃんに声をかけていた。
「おじいしゃま、
みんながきましたよ」
眉毛でこちらがみえているか全く視線が合わなかった。
「おぉぉ、きたかねぇ
いらっしゃいだねぇ」
シルキィの隣で、シルキィのほうを向いていた顔をこちらに顔をむけなおした。
「わしゃが、前々魔王で、現魔王のホイじゃ。
大陸を救ってくれたありがとうじゃなぁ、
ありがとうじゃなぁ」
ゆっくり、ゆっくりと頭を下げていったが、下がり切る前に、隣の獣が待ちに待ったっと声を掛けてきた。
「ひさしぶりナノ」
「そうだおぉ
「ゲンキソウダナ」
一匹の獣がまとまった彼らは、神様とおもっている魔王のところには、たどり着いたようだが、分離という願いは叶えられていないようだ。
「久しぶりね、
イノ!
ナノ!、
ダノ!」
「そうでござるな」
ひそひそ声で、アドアとアンナが何あの化け物と身構えていたが、僕ら三人に仲良く近寄って話始めている姿をみると警戒を解き始めた。
リイナが、怯えていた二人に優しく状況を推測した結果を聞きに僕のとことにきた。
「ナナねぇとヒビキと一緒に旅してきたようね」
「そうなんだよ。
あの女冒険者に、三匹が死にかけたとき、進化させてもらって何とか一命をとりとめたんだって」
「そうなのよ、
また、元に戻るために、ここを一緒に目指してたのよ」
「そうなのね。
ゴブ八みたいなものなのかしら。
それにしては、まだ、戻せてもらえてないようね」
リイナは、僕の話を聞くとアドアとアンナも納得ししたようで近寄ってきた。
「そうナノ
こまってるナノ
うんとね……」
その頃、ようやく、年寄りの魔王の頭が上がり 話が再開された。
「ありがとうじゃぁのぉ」
「で、おじいしゃま、
さっき話した通りマップに、まだ、進化した魔物が二匹いるしゃよぉ」
シルキィがあかるくマップを指さしたが、魔王のおじいしゃまは、眉毛で目が隠れており、見えてる様子がなかった。
「そうじゃかあぁ
あの辺かのぉ」
魔王は、震える腕で、海に指をさすと
「そうだよ、おじいしゃま
あの辺だと思う」
シルキィが誘導し、間違って村があるところを指刺していた魔王の手を、深海にいるであろう正しい場所を指ささせた。
「時期は、
どのくらいからじゃったけかのぉ」
今度は、シルキィではなく、アメリアが耳に近いところまで頭を降ろすと、口を開いた。
「そうだな。
半月くらいだろう」
「わかったじゃあ。
まかせんじゃぁ
とりゃ」
魔王は、むにゃむにゃと呟き、指さした部分を空中で撫でると、マップにあった赤い点は消えていった。
僕は、目を点にして、シルキィと魔王を交互にみると、
「な、なにがおきたんですか?」
「うちのおじちゃまは、時間を戻しぇるの
だから、あの空間を半月前に戻しぇたんだ」
全員が羨望で見てる中、リイナがイノさんたちに視線を落とした。
「へぇ、凄いことができるのね
だったら、その獣も直ぐに戻してもらえるんじゃないの?」
「そうなんだけどだお」
「ねぇなの」
震える体で魔王が、小さな声をだした。
「提案はしたんじゃがなぁ
過去に戻すとこれまでの記憶がなくなるのが、いやなんじゃそうだのぉ」
魔王は、見えてるのか見てないのかわからなかったが、顔だけは、イノさん達に体を向けた。
「みんなで相談してたお、
最後に、三人に会ってからにしようっと決めてたお」
「そうなの」
「ソウダ」
「ということでじゃ、
おぬしたちが来るであろうと、ここで待っておったのじゃ
ふぉふぉふぉ」
僕は、どうしていいか、どう答えていいかわからず、黙ってイノさんたちを見ることしかできなかった。




