第422話 アメリアの昔の話を聞いてみよう
アメリアは、こちらを見ずに下をみたり上を見たりとぎこちない様子をしながら、小さな声で話始めた。
「そうだな、うん。
まずは、200年前に、話は遡る。
そのころ、エルフは隣の大陸で、大陸を統治していた。
当時、統治していたのは、私の両親でエルフの魔王として、あがめられていた。
今でいうドワーフの大陸の統治がちかいかと思う」
「そうだったでござるか。
で、どうなったでござるか?」
急に自分の国のことが話題に上ると、興味が出てきたようで、輪の中心に近づいてきた。
そんな様子をみて、にこりとすると、また冷静な表情へ戻って行った。
「で、めでたいことに、両親に3人目を生まれることになったことで、事態が急転したのだ」
「事態が急転?
どんな風になの?」
アドアは、きょとんとしながら、何かを思い出そうとしていたが、何も考えが及んでいなく、再度質問をしていた。
「うん、
そのころ、私は、次期王となることが決まっていたのだが、
うん、まぁ、子供のころからの許嫁がいてな。
それが、今のジーンの旦那となるんだが……」
「ちょっと、展開が早すぎてわかんない」
アドアは、頭がパンクしたのか、眼がしらに力を籠めると、文句をいいはじめた。
「あぁ、すまん。
もう少し、私の話をしよう。
私には、年齢の近い妹がいてな、名前はジーンで、武術はからっきしだが、私と違って、優しいというかおっとりしてるところがあって誰からも好かれていた。
私はどちらかというと武術が得意で、
当時、国?いや大陸で一番と謳われていた。
ま、まわりがな、私じゃないぞ」
「魔王ジル戦をみてるわたしからすれば、
そこは、なんだか、すっと入って来るね」
リイナが納得の表情をしたが、後は僕以外は、口にだすのをためらっている感じもあった。
「ふふ、ありがとう
で、話は戻るのだが、私の相手の婚約者だが、吟遊詩人でな。
武芸よりも詩や歌のほうが好きで、私と居るより、
話を聞いてくれるジーンと一緒にいる時間が増していったんだ」
「はは~ん、わかりました。
で、妹にとられたんですね」
僕は、目をしかめると言葉をにごさないアドアに苦言を直ぐにいれた。
「アドア、直球すぎるよ」
「うん、まぁ、そんなとこだ。
それは、しかたない。今は理解できるんだが、その時は、プライドが高くてな、
どうしても、納得がいかなかったんだ。
本来は、そこで悔しいって話が終わるところだったんだが、その時の宮廷魔術師が、ジルだったんだ」
「「な、なんで、魔王の名前がここででてくるんだ!!」」
そこで、僕とリイナは顔を見合わせ、驚愕した。




