第421話 アメリアに事態を伝えてくれるよう交渉してみよう
ゆっくりとスピードが遅くなり、徐々に下降していくと、エルフの里のみんながこちらに様子を見にやってきたようだ。
「アメリア様、シルキィー様、
お疲れさまでした」
真っ先にアメリアが口を開いた。
「あぁ、ただいま。
ジーンは、家か?」
「はい、ご主人様と一種に待っておられます」
「そうか、わかった。
ありがとう」
「まずは、おじいちゃまのところに行くしゅ」
「そうだな、
魔王に退治と残った敵の件を伝えてこないとな。
みんなこっちだ」
まだ、地図には海に二体の敵が残っており、伝える必要が有るんだろう。
シルキィは、みんなを置いて、一人で楽し気にダッシュで村の中を走っていくと、大陸で一番の樹に向かっていった。
「ははは、あの様子じゃ、
シルキィがきっと、全部伝えてしまうな。
困った子だな」
「いいんじゃないの。
誰が報告したって」
「そうね、リィちゃんのいうとおりよ」
「そうか?そうかもしれないな。
そうそう。
今通り過ぎた館が、私が住まわせてもらってる館だ」
それは、里には似つかわしい二階建ての大きな木造の建物だった。他の建物は、質素な平屋で土と木でつくられた小屋としか呼べないぐらいの質素なものしか見えなかった。
僕はさっきのやり取りで何となく察しはしたもののこれまでのアメリアの道中を含めて、聞いてみることにした。
「一人で住んでるわけじゃないよね?」
「そうだ、妹のジーン家族と住まわせてもらってる。
といっても、私は離れだがな」
「わたしは、まだ、詳しい話をきいてないんだけど……」
リイナが我先にと意見を述べたが、実際は、僕を含めて全員、アメリアから一切の話を聞いてなく、何が何やらわかっていなかった。
その一言に、観念をしたのか、一瞬渋い表情をした後、覚悟を決めたようだった。
「うむ、そうだな。
シルキィ以外は、この村のエルフたちは事情を大体知ってるんだが、
教えていないことも多々あったりするな。それも含めて伝えることにする」
「うん」
その一言で、全員が聞き耳を立てながら、アメリアの周りに集まった。
「さて、どこから話そうかな」
まったく、事情を知らないナナさんとエドワードは、興味深々だったり無興味だったりで、人それぞれだった。
「いいわね、
なんだか、面白そうだわ」
「拙者は、興味がないでござる」
だが、エドワードを除いた全員が、生唾を飲みながらいまいまかと待っていた。
「しー、二人とも静かに!」
僕の声で、二人は口をとじ辺りが静かになると、ゆっくり歩きながら、ぽつりぽつりとアメリアは話始めた。




