第420話 ゴブ八と別れの挨拶を見届けよう
「どうやら、大丈夫なようだな。
3人とも、もう安全のようだし、
我は、出発することにする」
「そう、ほんとに行くのね」
ゴブ八が、全員に告げるとリイナが、寂し気に呟いた。
そんな様子に近くにいた僕は、リイナに問いかけたが、返答はちかづいてきたアンナが答えてくれた。
「どこに行くの?」
「マホさんのとこなんですって」
「強くなったら、会いに行こうっておもってたみたい」
「そうなんだね」
共に旅をしてきた三人が近づいて行き、でっかいゴブリンに抱き着き別れの挨拶を一通りし終わると、こちらを振り返ることなく、海に向かって走り始め、恐ろしいスピードで泳いでいった。その影は、直ぐに小さな点になって行った。
三人とも影すら見えなくなるまで見送ると、
「あっという間に、いなくなったね」
「きっと、人が多いのが苦手なのよ」
一定の静寂が過ぎ去り、この中で一番小さな女の子が口を開いた。
「そうなんでしゅね。
これで、大陸中のイレギュラーモンスターがほぼ片付いたでしゅ。
さぁ、魔王のおじいちゃまがまってましゅから、会いにいきましょう!」
僕はその発言で先ほどの地獄を思い出し、問いただした。
「い、行くって、移動方法は、まさか」
「そりゃ、ヒビキ君、
空を飛んでにきまってるじゃない。
らくちんでよかったじゃない♪」
ナナさんの発言に、新たに加わった三人の表情は全員嬉し気だ。
「へぇ、いいなぁ♪
空の旅♪♪」
「だよね、アンナ」
「ヒビキ、もしかして怖いの?
今度は、わたしが抱きしめてあげるわ♪」
「大丈夫だ、リイナ
ヒビキは、私が、しっかりと保護しよう」
「え~、ヒビキ兄さんは、私がいいよね
だって、一番大きいもん」
「そ、そうだね」
「「「「うぁわぁあ~ん!!」」」」
適当な本音が吐き出されると、四人の美女が、僕を取り囲んで、睨んでいた。僕は、頭を抱えしゃがみ込むと、シルキィの楽し気な声と共に、体に浮遊感がやってきた。
風は、8人を包むとゆっくりと上空に持ち上げ、徐々にスピードをあげて、森の奥へと進んでいった。
「いいわね、
わたしも、先にこれを知っておけば、旅が早く終わってたわね」
「姉さん、
それだと、ゴブ八にも会えてないと思うよ」
「そうだよ、リィ姉」
「うちは、駄目ね。
頼りのヒビキ君が、あんな感じじゃ」
「まったくだらしないでござる」
結局、四人が各々でしがみつくことで、納得したようで、僕は4人でしっかりと抱き着かれ常に誰かにきつくしがみつかれ、目を瞑ることで、心に平穏が訪れていた。
「今度は、そんなにかからないわね。
もう、目的地がみえてきたわね」
「ほんとでござる。
かなり早く着いたでござるな」
「そうだな。
先ほどは、急いで何かあったら困るから、少し遅めに移動してもらってたのだ」
「そうでしゅよ、
本気はこんなもんじゃないでしゅよ」
そういうと、ものすごい速さで移動したようで、僕を除いた女性たちの黄色い悲鳴ににた歓声が聞こえたが、僕はどうしても、こっそり開いた目の前の巨乳以外目に入れられなかった。




