第419話 カマキリの一撃を背中で受けてみよう
彼女は、雨がやんだことでマップを開き、赤い点を見ていたようだった。
「まだ、進化した魔物が退治されてないでしゅ
ひ、ひ、ひびきしゃんの前にいるでしゅ」
僕は、まるで存在が感じられない正面に向かって、黒赤剣で袈裟斬りで空をきると少し先から、半分に切断されたカマキリが正面に倒れてきた。それは、今までとはまるで異なり何倍もの大きさのかまきりだった。
「に、虹色カマキリのクィーンでしゅ」
僕は、先ほど一撃で7割以上を倒したことで、油断していたのかもしれない。
今回も一撃を入れて、奴の体が半分になったことで、すでに討伐していたと思っていた。それは、リイナも一緒のようだった。
「さすが、ヒビキね」
僕の隣にゆっくりと歩いてきたリイナのほうをみるとまたも、シルキィの叫びに似た絶叫が聞こえてきた。
「ひ、ひ、ひびきしゃん
まだ、討伐されてましぇんよ」
「えっ!?」
僕は、慌ててカマキリのほうを振り向くと、既にカマキリの鎌がリイナの頭の上に向かって振り下ろされるところだった。
僕は、モンザさんに教えてもらって何度となく練習をしたハン流移動術使った。一瞬で、リイナに近づくと抱きかかえるように転がった。だが、間に会ったといえるのか、間に合わなかったともいえるのか。僕の背中には、無慈悲な鎌が振り下ろされ、背中に斬撃で斬られた感触が伝わった。最後の一撃だったのか、僕に強烈な一撃をいれると力尽き、最後の一体のカマキリは、光の粒子へと変わって行った。
転がった先で、ピクリとも動かない僕に近くにいたナナさんが急いでやってきた。
「ヒ、ヒビキくん、大丈夫?」
「ヒビキ兄さん!」
「ヒビキ!!」
僕は、腕の中で心配そうに涙目でみているリイナの頭を撫でると、
「大丈夫だよ。
さすが、エドワードの防具だね、体まで刃は届かなかったよ」
僕は、みんなに背中を見せると鎖帷子には、少しの傷もついていなかった。
リイナはその声で安心したのか奥の一声で、大粒の涙を流すとぎゅっと抱きしめてきた。
「あんな昆虫ごときに拙者の防具は、
傷一つつかないででござる」
みんなが笑顔になる中、ナナさんが呆れるくらいなトーンで話しかけてきた。
「もう、いいんじゃない
ヒビキ君」
僕は、泣き崩れているリイナを強く抱きしめており、事態に気が付くと彼女もようやく落ち着きを取り戻していった。
「は、はずかしいよ、ヒビキ」
僕は、リイナしか見つめてなかったが、リイナを降ろし辺りを見回すと全員が僕を凝視しており、何人もの視線が非常に冷たかった。




