第415話 鬼女の目の前でフィアンセの報告をしてみよう
砂漠を超え、山を越え途中に村があったようでエドワードとナナさんが語ってくれたが、僕はアメリアに抱き着いて貰い、手を握るしかできなく、外をみる余裕はなかった。
「ナナ殿、あそこに村があるでござる」
「ホントね」
「あそこが、私たちが暮らしてるエルフの里だ。
現魔王も一緒にくらしている」
「へぇ、そうなのね。
もう、砂漠はなくて森だけね。
砂漠は、あそこだけなのね。
空から見ると、全体が見れていいわね」
「こんなに眺めがいいでござるのに、
見ないなんてもったいないでござるぞ、ヒビキ殿」
「そ、そんなのむりだよぉ」
「まったく、どうしてそんなに怖がるのかしら
全然わからないわね♪」
二人だけは風景を楽しみながら、空中移動を楽しんでいた。アメリアは、僕に片手を握りながら、後ろからしっかりと抱きかかえてくれた。おかげで僕は背中の感触に集中することで、恐怖が薄まっていた。
地獄の時間が、半日ほどすぎたところで、ようやく大陸を横断し、反対側の海が見えてきたようだった。
「どうやら、海がみえてきたわ。
目的の魔物は、あの巨体のようね」
「そのようでござるな。
それにしては、他にも人が一緒にいるようにみえるでござる」
「そうだな。
戦ってるようにはみえないな。
ゆっくり、近づいてみよう!
頼むぞ、シルキィ」
「はいでしゅ」
シルキィは、返事をすると、先ほどまでの勢いを殺し、ゆっくりと大きな魔物をひきつれた一団へと近づいて行ったらしかった。
だんだんと小さなシルエットから、人影がみえてきたことで、その一団が何者なのかがナナさんはわかったようだった。
「あぁ、なるほどね」
「ナナ殿、ヒビキ殿、
あれは、リイナ殿やアンナ殿やアンドレア殿でござるよ」
「そうだな。
リイナのようだ。
他はみたことがないが、君らの知り合いみたいだな」
「そ、そう。
そうなんだ、僕はもう無理だよぉ。
「三人、リイナとアンナ、アドアで反対側から、討伐して回ったのよ」
僕は、三人の補足をしたが、まだ目を開けられなかった。
地面にいた三人と一匹もこちらに気づいたようで、アドアとアンナの大きな嬉しそうな声が聞こえてきた。
「ヒビキさ~ん
こっちですよぉ~」
「ヒビキ兄さ~ん、元気~」
さらに、ゆっくりと進んでいく感じが体に感じしばらくすると、地面が足に触れたことが判った。
僕が心の底から、安堵をすると、心底冷たい声が僕の背中を走って行った。
「ヒ・ビ・キ!
どうして、ジーンと手を握って、
しかも、抱きしめらえてるのかな!」
「ひぃぃ
ご、ご、ご、ご、誤解だって。
な、な、な、な、なりゆきだから」
「そんなことはないしゅよ、
フィアンセ同士、一緒はとうぜんなことでしゅ」
僕は、シルキィの言葉で目を開けるとそこには、髪の毛が逆立った鬼女が震えてたっていた。




