第408話 そろそろ出発してみよう
「おはようでござる」
「おはよう、ヒビキ君。
朝ご飯が用意してあるわよ」
二人の声で目が覚め、簡易家を出ると、テーブルに座っていたゲリィさんは、既にお酒を飲みながら、ごつい骨付き肉をほおばっていた。
「おう、おはよう、ヒビキ君」
「おはよう、みなさん。
僕が最後?
チャチャさんは、まだ、ねてるのかな」
辺りを見回しても、特徴的な赤茶色の髪の美女の姿は見えなかった。
「何言ってるの。
誰よりも早く起きて、朝ご飯の準備をし終わったら、
そのまま、家に帰ったわよ。
お寝坊さんは、ヒビキ君だけよ」
「そうでござるぞ。
といっても、
拙者もさっき起こされたばっかりでござるが」
二人が、僕よりも早く仲良く並んで座ったため、ゲリィさんの隣に座ると、テーブルの上には人数分のサラダが小分けに置いてあり、中央には山もりの骨付き肉や、蒸し料理が並んでいた。
「そうなんだ。
ギルドを休むわけには、いかないもんね。
僕と違ってえらいね」
「そうよ、
私たちだけ、相手してればいいわけじゃないんだから。
彼女に自由な時間なんて、ないに違いないわ」
「そうだなぁ。
じじいも、強制引退で、大変だろうしなぁ。
俺は、手伝わんが……
がははは」
またも、大きなジョッキを口にくわえると一気に流し込んでいた。僕らは、各々でテーブルに乗っていた料理を食べ始めるとあっという間に、あらかた平らげ、お腹いっぱいになった。しばらくまったりとしていたが、手持ち無沙汰になると、旅支度を始めることにした。
「そろそろ、出発するでござるよ。
おじじ殿」
「おう、そうか。
みんな、また来いよ!」
「ええ、またくるわ。
楽しかったもの、この村♪」
「今度は、自費になりますよ、ナナさん」
「そうね、全部無料だったのを、忘れてたわ」
「そりゃ、楽しいわな。
じゃ、おまえら、気をつけてな、
怪我しないように、
無理すんじゃねぇえぞ」
「ええ、では、行ってきます!」
僕らは、鍾乳洞で別れを告げ、小屋を出ると、ゲリィさんは、小屋の窓から手振って、見えなくなるまで、見送ってくれた。
「ホテルと違って、変わった感じでよかったですね」
「そうよね~
一番いいホテルでの、一番いい部屋もいいけど、
ゲリィさんのとこは、忘れられない思い出になりそうだわ」
「そうでござるな」
三人でたわいもない会話をしながら、賑わってる大通りをぬけ、村の左上にあるといわれていた最後の町 ジニョーロ町へと続く通りに抜けていった。
「それにしても、明け方なのに、人が多いわね」
「ですねぇ。
まだ、皆さん元気きですね。
このあと、何日これが続くんでしょうかね」
「さぁ。あと二日くらいじゃないんでしょうか?」
「「「わぁ」」」
僕らは、昨日ずぅっと一緒にいた美女の声が急に聞こえたため、驚いた声が通り中に響かせたのだった。




