第407話 月がでているか確認をしてみよう
岩に体を預け、山から来る静かなそよ風を浴びながら目を瞑ると、川のせせらぎと山側の滝へと落ちる水音が聞こえ、風になびく笹の音が、気持ちよくてうたた寝しそうだった。
「今日は、気持ちよく、飲めるな」
ゲリィさんは、既に何本も露天風呂でも酒瓶を開けてるというのに、まだまだ飲み始めのような話をしていた。
「ふぁぁああ。
今日は、結構飲んだわね。
そろそろ、寝ようかしら」
ナナさんが大きな欠伸をしながら、発言を聞くと、エドワードはナナさんをちらりとみてから、真上にある月を見ていた。
「そうでござるねぇ
ふふ、月が綺麗でござる、ナナ」
「ふふふ、そうね。
月がきれいね、エド」
二人が見つめ合って微笑んでる中月を見たが、いつもと変わらないようにしか見えなかった。
「ヒ、ヒビキさん
月が綺麗ですよ……」
「そうかなぁ、
満月でもないし、いつもの月にしか、見えないけど」
「うぅ……、はい……」
ゲリィさんは、そんな僕の様子を苦笑すると、
「だろうなあ。
はいはいっと。
俺は、自室に戻って、もっと強い酒を煽って、寝るとするかな。
お先」
先ほどの発言とは、裏腹に急に湯舟から上がるとと、さっさと直ぐに鍾乳洞に戻っていた。エドとナナさんは、彼を気にせず楽し気にしていたが、僕も次いで出ることにした。
「じゃ、僕も眠ることにするよ」
僕は、欠伸をしながら、露天からでて更衣室へ向かうと後ろからチャチャさんの声が聞こえた。
「ま、待って下さい。
私もでます。
お二人とも、お先です」
僕は、待たずに更衣室に着くと、直ぐに着替え、更衣室から出ることにした。
「チャチャさん、
外で待つよ」
「え、はい」
しばらくすると、チャチャさんは普段着に着替えて出てきた。
「あの服じゃないの?」
「あと、眠るだけですし、
もったいないかなぁっと」
「そういうもんかなぁ」
「そういうもんです。
さぁ。
テーブルの上を、片してから、眠りましょう」
チャチャさんの視線の先には、夜会で食べ散らかした食べ物や飲み物がテーブルの上に散乱していた。チャチャさんが、明日の朝で食べれそうなものを、幾つか彼女のバックにしまうと、後は、旅で食べる分と僕に手渡して、しまいやすいしてくれた。
こういうところがきっと気遣いができるっていうところなんだろう。
ようやく全てが片付け終わったところで、タイミングよく二人も更衣室から出てきて、綺麗に片付いたテーブルの上を眺めた。
「すっかり綺麗になってるわね。
お疲れ様♪
さてと、私たちも、疲れたから、眠るわね。
じゃ、また、明日から~」
「お休みでござる」
二人が、仲良くゲリィさんの屋敷に向かうのを見て、僕らも、各々の簡易家で眠ることにした。
「今日は、ありがとう。
すごく助かったよ」
「いえいえ、
こちらも、身内のことで迷惑かけてすみません」
「あまりにも、過去過ぎて忘れちゃったよ」
「とっても、大事なことなんですよ!」
「そうだよね。
じゃ、お休み」
「おやすみなさい、ヒビキさん」
彼女は、僕を最後まで見送ってくれたので、僕は軽く手を振ると近い簡易家に入って行った。簡易家の中には、ほんとに小さな部屋で荷物が置ける棚と大きめのベッドしかなかった。ベッドに横たわり、薄い壁の向こうでは同じようにチャチャさんも寝てるのかなと思ったところで、目を瞑るとそのまま眠りに落ちていった。




