第403話 急いで中にはいってみよう
僕は、慌ててゲリィさんの小屋に二人で入ると、後ろから追ってくる追っかけも、一人、また一人と帰って行ってくれてるようだった。
僕は、小屋の窓で人が減っていく様子をみながら、
「まさか、こんなことになるとはね」
「はい。
まさか、追っかけられるとは思ってもみませんでした」
「影にファンクラブがあるんじゃないのかなぁ」
「そんなことありませんよ
たぶん……」
僕らは、誰も入ってこないことを確認すると、ゲリィさんがいるであろう鍾乳洞に向けて歩いて行った。
「ゲリィさん、
ただいま」
「おう、おかえり、
お!
別嬪さんになったな。
かなり美人度が増したな。
これだと、他の男どもがほっとかないだろうな!」
「うふふふ
ありがとです♪」
「ですよね。
さっきも、いろいろな男達に追いかけられましたよ」
「あぁ、だろうな。
あの布には、人間の男に好かれるスキルがついてるからな」
「そうなんですね。
だから、高値なんですね。
納得です♪
あ、で、でも。ヒビキさんには、効いてない気がします……
もしや、人間じゃないとか……」
「え!?
ははは
そんなバカな。
僕は、異常耐性無効を持ってるから、魅了とかも効かないんですよ!」
あからさまに、残念そうなチャチャさんをみながら、辺りを確認すると、出る前にはなかった見慣れない簡易な建物が二つくみ上げられていた。
「これは、なんです?」
「おお、簡易テントならぬ、
簡易家だな。
中は、ベッドしかないが、寝るにはじゅうぶんだろう」
「じゃ、私とヒビキさんの分ですね」
「いや、俺とヒビキ君のだな。
チャチャは、そこの長いすでざこ寝でいいだろ。
酔っぱらって寝る体なんだから!」
僕とゲリィさんが二人で高笑いをしていると、一人泣きそうな声が聞こえてきた。
「ひ、ひどいです、二人して!」
「冗談だ、冗談。
チャチャのいうとおり、そこを使えばいい。
おれは、自分の部屋があるからな、
エドと嬢ちゃんは、客間を使ってもらう予定だ」
「ふふふ、
よかったね」
「もう!!
ちょっと本気にしましたよ。
普段は、冗談とか言わない気質の方なんで、信じかけましたよ」
「そうか、
昔からかわらんのだがな」
僕らの会話が終わり和やかになったところで、ナナさん達も、ひとっぷろ浴びて帰ってきたところだった。
まだ、からだから、湯気が出て、ぷるぷるしている二人が、荷物をおくと、こちらに近づいてきた。
「ただいまでござる」
「ただいま。
いい湯だったわ、海の景色もよかったし、また行ってもいいわね。
そうそう、帰り際に、男たちがいっぱいいたけど、
何かあったの?」
僕らは、先ほどまでの話をしながら、夕食に向けて準備を開始した。




