第4話 状況を整理してみよう
そして、僕は、立ち上がり、
着ているものを確認してみた。
左手には、古めかしい本を持っており、
右手には、樫の木のような材木でできており、稲妻のようなくねくねとまがった背丈ほどのスタッフ。
頭には、黒に近い濃い紫の帽子、
腰ほどのマントを着てる。
マントの内幕は白の羊毛っぽいあったかそうな毛、外は、綺麗な白い羽がいくつもぬいつけてある。
これのおかげであったかいのかな。
服は、膝までくらいのワンピースに、
ズボンを履いている。
あとは、なにかの皮のブーツに、皮の手袋。
ぴったりフィットしてるのは、ありがたいね。
あと、見えないけど、首と両指に違和感があるから、ネックレスと指輪をしてる気がする。
扉に顔を向けながら、
なんで、リイナが幽体になっていて、
僕がリイナの体にいるのか、聞いてみたい気がする。
〈ねぇ、リイナ。ぼくがこの体にいる理由知ってたりする?〉
〈知るわけないでしょ〉
即答で、答えられた。
期待はしてなかったけど、想定どおりの回答がかえってきた。
想定通り過ぎて、少し残念。
〈じゃ、杖をとってから、気を失ってる間で、変わったことあった?〉
きっとないんだろうけど、
確認は大事だよね。
〈あなたが、わたしの体にはいってる〉
〈それは、知ってる〉
結構強めの口調で言われたので、今度はこっちがくい気味に同意してみた。
〈そういえば、杖をもったとき、<<あなたは呪われました>>って、声が聞こえたわね〉
〈それだー。〉
なんだ、理由は、簡単だった。
それにしても、急に声が聞こえたりするものなのかな。
〈杖の呪いを解呪すれば、元に戻れそうだね〉
とりあえず、目的は一つできたし、
呪いがとければ、リイナは自分の体に戻れそうだ。
〈そうしたら、ぼくはどうなるんだろう〉
〈今のわたしにみたいに、ぷらぷら浮いてるんじゃない〉
今までのうっぷんを晴らすような適当に話を返してきた。
やっぱり、どこかに体があるのかな。
きっと、あるに違いない、そうであってほしい。
〈そうなったら、ぼくの体をみつけるのを、手伝ってほしいな。〉
〈そうね、考えとくわ。まずは、わたしの体を返してくれてからね。どうなるかは、わからないんだし〉
先のことを想像しても、判らないから、
悲観的になってもしかたないよね。
会話を続けていたら
扉まで、あと十数歩のところまで、近づいた。
〈でも、わたしが朝、廃墟に向かっていたとき、そんなネックレスつけてなかった気がする〉
〈うん?〉
なんだって。
一緒だった冒険者がつけたのかな、そんなことがあるのかな。
そんなことを考えていたら、
扉の奥から、何か生き物が潜んでいるような
がさごそと物音が聞こえてきた
ふごふごいってるし、絶対冒険者じゃないよね。
〈リ・リイナさん、何か扉の奥に何かいるようなんですが?〉
〈何かいそうね。わたしが見てくるわ。ちょっとまってて。〉
そういって、ぴゅーと扉をすりぬけて、行ってしまった。
幽体も便利かもしれない。
ありがたや、ありがたや。
なんて、思っていたら、
あっという間に、リイナが戻ってきた。
〈どうだった?〉
〈オークね。雑魚よ、雑魚。大魔道師の私にかかれば、
火玉一発で十分よ!〉
リイナは両手を腰にあてて、自信たっぷりにそういった。
自分は戦えないのに、何であんなに自信たっぷりなんだろう。