第399話 今日の宿を決めてみよう
お昼をすぎ、融合祭りも、三時ごろを過ぎたあたりで、大体の小屋を一通り見て回るものも終わりをつげたようだった。
「おまえら、泊まるところは決まってるのか?」
「そうですよ、ヒビキさん
まだ、回りきってないですよ。
そろそろ、他をみてまわりましょうよぉ」
「なんだ、お前ら、宿を探している途中か?
うちでよかったら、泊めてやるぞ。
いくつか部屋が空いてるからな」
「それで、いいでござる。
泊めてもらうでござるよ、ヒビキ殿?」
「僕もそれでいいよ」
「私は、まかせるわ。
でも、他の温泉は回ってみたいわね」
僕を含めた三人は、どこの宿でも、よかったので、泊めてもらうことにしていたのだが、一人の美女が慌てて待ったをかけてきた。
「そ、それは、だめですよ!
もっと、いいところがありますよ!!
さぁ、紹介しますよ」
「そうですか?
せっかく、エドワードも久しぶりに会えたんですし、
ここで、いいと思いますよ」
「いやいやでも、
そ、そうだ。
温泉!ここよりも、いい温泉が、あるはずです」
ゲリィさんは、彼女の発言を聞くとにやりと片方の口をあげ
「うちのはすごいぞ!
鍾乳洞の幻想的なだだっ広い露天風呂と、
その先には、森の中の滝を見ながら、入れる露天の二つを作ってある。
正面の川で、エールも冷えるし、夜空の星を見ながらの温泉は最高だ」
話をきいていたチャチャさんは、どんどんと表情が曇ってきた。
「うぅ~
ここじゃ、だめなんですぅ」
「だなぁ。
俺の家じゃ、お前ら一族は近づけないことになってるからな」
この人は、何をしたんだろう。
「私が、とめれないじゃないですかぁ」
大体の合点がいったので、僕は、躊躇なくとどめをさした。
「では、三人。
お世話になります。
じゃ、チャチャさん、ここまで、ありがとうございました」
僕は、間髪入れず、頭を下げた。そんな様子にチャチャさんは、悲痛な顔をし始めた。
「そ、そんな~」
「ヒビキ君、流石にかわいそうじゃない。
ま、私はどっちでも、いいんだけど」
「ナナさんまで~」
僕は、笑顔でチャチャさんに向くと
「あ、そうだ。
チャチャさん、買い出しつきあってくれない?
夕食は、ここで、みんなで食べればいいんじゃない」
「うぅ、じゃ、夕食まで、一緒にいます……」
「いいぞ。
食べたいものがあれば、買ってくればいいぞ」
「それで、酔いつぶれて、ねちゃったら、
しかたないですよね」
「そうね、
酔いつぶれたら、仕方なく、泊まるしかないわよね」
「まぁ、それは、しかたないな」
「仕方ないでござるな」
「で、ですよね、
仕方ないですよね。
私、酔いつぶれるまで、飲みまくります♪」
いや、そこは、言葉のあやだから。




