第398話 魔法絨毯をパワーアップさせてみよう
「エド、お前は、なんかないのか?」
「拙者は自分の物は、自分で作るでござる。
それに、特殊なものが、多いでござるし……」
僕は、この村で一番高い買い物を思い出した。
「そういや、エドワードは、
魔法の絨毯を買ってもらったよね」
「おお、
あの空を飛べるやつか、俺も欲しかったんだが、
ギルド長に先に眼をつけられてな、買えなかったんだよ」
そうか、あれは、空を飛ぶものだったんだね。
それにしても、あれは、かなり高かったはずなのに、
それを買おうとするだなんて、ゲリィさんは、結構な金持ちなんだろうな。
ゲリィさんは、エドワードに近づくと、
「見せてくれ。
っていうか、使ってるとこを見てみたいな」
「わかったでござる。
やってみるでござる」
エドワードは、二畳くらいの絨毯を広げるとその真ん中であぐらをかいた。
少し浮かび上がると、ふらふらと前に進んでいった。
全員が、興味深々にエドワードを見ていたが、その中で一番ナナさんが食いついていた。
「すごいわね、
浮かんでるわ♪
へぇ、面白そう」
「ですよね、私も乗ってみたいです♪」
エドワードが静かにみんなの前に降りてくると、ナナさんが居の一番の乗って見せた。
ナナさんは、エドワードのおっかなびっくりの浮遊とは、うってかわり滑らかに鍾乳洞内を移動させて遊んでいた。
「ナナ殿、
上手でござる」
暫く浮遊を楽しむと、その後は交代で、ゲリィさんやチャチャさんが楽し気にのって遊んでいた。
僕は、過去を思い出し遠慮させてもらった。
「思ってたよりも、遅かったな」
「そうでござるか?
せ、拙者は、十分でござる」
「そう?
もっと、もっと早くてもいいわ」
「ですよねぇ。
私もそう思います♪」
「ねぇ。
ゲリィさん、
あれが、早くなるアイテムはないの」
「あるに決まってるだろ。
当然……」
「交換ですよね。
そういえば、巨大生物を倒した時の素材と思う戦利品を拾ったよね、エドワード?」
僕やナナさん、エドワードとここまでの道中で退治したクラゲやらナメクジやら、サソリやらの戦利品を取り出して、ひとつづつ渡していった。
ゲリィさんは、大事そうに受け取るとひとつづつ品定めを行っていった。
「おお、悪くないな。
融合には向かないが、錬金術師と交換すれば、結構な値段で買い取ってくれそうだ。
このナメクジからのドロップ品の布は、服にすると、いいものになるぞ」
ゲリィさんは、受け取ったものをこちらに返してくれた。
その時にチャチャさんが、口を開いた。
「服飾屋ですね。
あとで、行きましょうか」
「じゃ、この布以外で、交換でどうですか?」
「いいぞ、ほれ、靴を二足だ。
速度制御と速度アップだ。これで、倍以上早くなって扱いも楽になるだろう」
ゲリィさんは、棚の下にあった靴を二足を、僕に手渡した。
僕は、受け取るとさっそく魔法を唱えて三つを融合するイメージを固め、魔法を唱えると、二つの靴は光の粒子に変わり、絨毯に吸い込まれていった。
ナナさんは、その様子を楽し気に見つめ、
「ふふふ、エドは乗り気じゃなさそうだったから、
私がやってみるわね」
ナナさんは、さっそく真ん中に座ると、今までの倍の速度で飛び回って、縦横無尽に遊びまくった。
「おもしろいわ。
早くなって、より面白くなったわね♪」
この後も、ゲリィさんやチャチャさんが交互に乗り回し、楽しんだが、傍らのエドワードは、ずっと苦い顔を浮かべていた。
持ち主が一番乗り気じゃないって、かわいそうだな。




