第397話 自動防御の盾を作ってみよう
ゲリィさんは、手のひらサイズの瓶を取り出すと、
「この前、錬金術師から買った流体金属だ。
これに、自動防御のスキルを付与した。
高いダメージは守れないとは思うが、牙や爪なんかからは、守れるものもあるかもしれない
その杖で、攻撃してみな。
間違っても、剣のほうじゃないからな」
ゲリィさんは、瓶から手に持つと、腕に流体金属は、丸まって納まった。
「いいぞ、どこを攻撃しても」
「判りました」
僕は、杖の先端で、みぞおち付近を突き刺した。流体金属は目にもとまらぬ速さで移動し、突き刺そうとした部分をカバーし、僕の腕には、金属をさしたしびれた感覚が残った。
「確かに、凄いですね。
まだ、手がしびれてます。
で、ゲリィさんには、痛みはあるんですか」
「触られた感じくらいかな。
どちらかというと、移動される違和感があるな。
気になるかどうかだな」
「へぇ。
私も使ってみたいわ」
「いいぞ、ほら」
ゲリィさんは、みぞおちをカバーしていた金属を右手に集めると、ナナさんの両手に渡していった。
「少しひんやりするのね。
それに、そこそこ重いわ……ひゃん♪」
渡した瞬間に、ゲリィさんは、ナナさんの脇腹に手刀を突き入れると、一瞬で脇腹に移動し、跳ね返した。
「あ、カバーしてくれたところは、ズンって重みはくるんだね。
もっと軽いといいわね。
ヒビキ君頼むわ」
「あ、いいですよ。
ゲリィさん、軽くするやつありますか?」
「あるけどよお、
無料じゃないからな。
交換するものをだしやがれ」
ゲリィさんは、そういいながらも、箱から指輪を一つ取り出すと、僕に手渡した。
ナナさんは、バックから豪華なマントを取り出すと
「これでどう?
見栄えはいいわよ」
ゲリィさんは、受け取り鑑定の魔法を使うと
「ユニークスキルはないが、高価な品物だな。
あとで、何かと交換できるだろう。
これで、商談成立だな。
二つ好きにしていいぞ」
「よかったですね。
じゃ、任してください」
ナナさんは、瓶に流体金属を入れると僕の目の前に開いて見せた。
「これでも、いいかしら」
「ええ。
融合!!」
流体金属に、指輪を投げ入れると、光の粒子にかわり溶け込んでいった。
「お、軽くなった。
持ってるか持ってないかもわかんない感じ。
ありがと♪
ヒビキ君♪ちゅ♪」
ナナさんは、お礼なのかほっぺたにキスをするとルンルンに喜んで、走り回っていた。
どうやら、場所は背中にしたようで、丸い薄い銀色のお盆が背中にあるように見えた。




