第395話 最強の戦斧をみてみよう
少し疲れが直ってきたのか、だいぶエドワードの血色がよくなってきていた。
「おじじ殿の武器は、ここにないでござるか?」
「あるぞ、最近は、これだ」
彼が、カウンターの後ろにたてかけてあった真っ黒な巨大な戦斧をとりだした。刃部分は彼の樽みたいなお腹と同じくらいの大きさがあった。
「アダマンタイト製だから、切れ味と硬さは、申し分がない。
真っ向勝負で、さっきの坊主の剣とぶつければ、こちらが大きい分おり切るだろうな」
「そりゃ、そうでしょうよ、そんなごついやつ」
「ははは。
これには、軽さ系のスキルはついてないからな、人間には無理だな」
「でも、そんな重さと大きさじゃ、私には、当てられないわね」
大きな低い笑い声をしたあと、片口を上げると、
「この一振りをみてからでも、同じことがいえるかな」
彼は、肩まで、ゆっくりと持ち上げ地面に向けて振り下ろすと、瞬きをしていないはずなのに、一瞬の間に、斧は地面にめりこみ、轟音と共に、地面から衝撃がやってきた。
「みえたかい?」
「せ、拙者でも、ミエナカッタでござる」
「そ、そんなはずないわ。
気が付いたら、地面にささっ……」
「だろうな。
この戦斧は、振りのスピード倍化を二つつけてるからな。
だれも、この戦斧を躱すことはできんよ」
「呆れたわ。
そんなのさっきの一撃必殺より、質がわるいじゃない」
「がはは、そうかもな。
で、エドの坊主は、何かつくったのか?」
先ほど、薄くて使い切りみたいに言われて、恥ずかしそうに刀身が薄い剣を取り出した。
「ほほぉ
ここまで、薄くできるとはな。
流石、兄者のむすこだな。
これが、使いっきりなのが、ほんとにもったいないな
「そ、そうで、ござるか。
よ、よかったでござる」
「お前は、センスがあるんだから、
本職に早くもどれ。
で、この指輪を融合できれば、最強だな」
彼は、一つの埃まみれた指輪を、防具庫から行って取ってきた。
「これまで、何度かこの破壊不能を試しているんだが、一度も成功してないんだ」
僕とナナさんは、頭をひねると
「「破壊不能なんだから、融合できないんじゃない」」
「えっ!!」
「なんで、破壊不能を融合できると思ったのかしら、溶けてまざらなそうじゃない」
「ですよね、僕もそう思いました」
彼は、がっくりと膝を落とし、その場で泣き崩れると、
「この十年、何度となく試した日々が……
てっきり、素材の相性かなんかだと……」
あまりにかわいそうで声をかけにくかったが、ほんとかどうか試してみる価値はあるのかなと思いなおした。
「なんか、耐久系が上がるスキルのついた物はありますか?」
涙でぐしゃぐしゃの顔をあげると
「ああ、この短剣は、俺のさっきの戦斧でも、壊れんかったな」
「エドワード、その剣かりてもいい?」
「いいでござるよ」
僕は、虹色に輝く大剣受け取ると、それでも、地面に先端を刺しながら、魔法をとなえることにした。
僕は、指輪が解けコーディングするようなイメージを浮かべると、
「融合」
指輪を大剣に投げこむと、指輪は光の粒子にかわり、大剣に入っていった。
僕は、想像どおりに融合ができたのを確認するため、魔法を唱えることにした。
「鑑定」
<<名前:壊れることが難しい切れ味のよい黒大剣>>
<<種別:両手剣>>
<<ユニークスキル:【頑固おやじ】>>
<<価格:???>>
僕は、重さが変わらなかった大剣を地面に置くと、
「多分、これで、踏んでも壊れないんないかな」
僕は、エドワードが力いっぱい踏みつけるふむと思っていたが、どうやら間違ったようだった。
「おじじ殿戦斧を借りるでござる」
彼は、両手で先ほどの戦斧を持ち上げると、地面に置いてある大剣に振り下ろした。といっても、振り下ろしは、誰もみえなかったが。
ガキンッ!!!!
金属がぶつかるすさまじい音が聞こえたが、大剣は傷一つなかったが、戦斧の先端は切っ先がかけ、真ん中に小さなヒビがはいっていた。
「ホントに壊れないでござる」
「お、おれの戦斧が……」
先ほどまで、泣き崩れていたおじじ殿は、そのまま泡を吹いて倒れた。




