第394話 最強の槍をみてみよう
後世にのこるといわれた恐ろしい名前は、変えないままそのままで行くことができてほんとによかった。
ゲリィさんは、まだ粗削りな剣を片手に持つと、
「じゃ、俺は、これを仕上げてるから、
武器庫と防具庫でも好きなところで時間をつぶしてくれ。
おれの品を見ててもいいが、
売り物じゃないからな。
まぁ、オマエラだったら、レアものとの交換なら、考えてもいいぞ」
「へぇ、ここの町の武器屋より、面白そうだわ。
さぁ、エドワード行くわよ」
「拙者は、へとへとでござる」
エドワードは、ナナさんに抱きかかえられると、鍛冶場の入口に歩き始めた。
「ははは、
嬢ちゃんは、エドの坊主じゃ、制止できそうなないな」
「ふふ
ええ、ですね。
じゃ、剣、お願いします。
僕も武器庫、行ってきます」
「おうおう、任しとけ。
俺も、直ぐにそっちに行けるさ」
僕は、チャチャさんの手を握ると、
「さぁ、チャチャさん、僕らも、二人の後を追いかけよう」
「はい♪」
さっきよりも楽し気に返事をするチャチャさんと一緒に、既に部屋から出ていった二人を眺めた。
「チャチャさんは、中に入ったことがあるの?」
「私は、ないです。使いませんしね」
「そっか。
じゃ、つまらないかもね」
「いいんですよ、ヒビキさんと一緒なら♪」
どういう意味があるのか、聞くに聞けなかったが、直ぐに、武器庫の前につき、開かれているドアから、のぞき込んだ。
中は、一部屋15畳ほどの部屋だったが、棚のなかや、壁にも武器が綺麗に陳列されていた。
「どう、ナナさん、
気に入りそうな物はあった?」
「残念ね、
槍は、いいものがないみたい」
僕は、棚にたてかけてあったシンプルな槍を鑑定してみた。
「鑑定」
<<名前:相手を必ず殺す槍>>
<<種別:槍>>
<<ユニークスキル:【一撃必殺】>>
<<価格:???>>
「やば」
「そのシンプルな奴、いいユニークスキルついてたの?
シンプル過ぎて、好きじゃないのよね」
「ええ、一撃必殺のスキルがついてました」
「それなら、ヒビキ君の剣より、強そうね」
「でしょうね。
一撃与えれば、相手死んじゃうですから!」
そんな話をしてるとゲリィさんが、打ち終わって剣を持ってやってきていた。
「はいよ、坊主」
「ありがとうございます」
僕は、受け取り刀身を見ると、なんでも切れそうなぐらいにとがっており光り輝いていた。
「お見事ですね」
「ああ、本職だからな。
こんなスゲー剣打てたんだ。
久々に楽しかったな♪
で、これか」
「ええ、凄い槍ね」
「すごいといえば、凄いのかもな。
素人が握っても、動きの遅い相手を必ず倒せるからな」
「玄人同士でも、一撃で相手を倒せるんだから、凄いわよ」
「そうかもしれないな。
だが、所詮武器は武器だ。
弓や魔法で狙われたら、負けるだろうし、ガードの硬い剣士でも苦戦するだろう。
これだけで、勝てるってもんでもないだろう。
嬢ちゃん、興味あるのか?
交換してやってもいいぞ」
「それを言ったらねぇ。
誤って味方に当たっても、死んじゃうんだよね」
「当然だな」
ナナさんは、少し考えると
「やめとくわ、
やっぱり倒した実感がないと、戦った感じがしないし、精進しづらくなりそうだから」
「さすが、嬢ちゃん、よく分かってるな。
これを持ってたやつも、最初が一番強かったって言ってたな。
あとは、どんどん腕が鈍くなっていったって言ってたよ」
僕には、よく分からないけど、そういうもんなのかもしれないのかな。




