第393話 後世に残したくはない名前はやめておこう
ゲリィさんは、再度剣をとり、金属の容器に入れ始めると、ナナさんが、氷魔法を唱え少しづつ冷やしていった。
「うむ、いいぞ、その調子だ。
ここからは、慎重に、
もっと、ゆっくり冷やしていけ」
「はい」
器は、外からでも、温度がさがって行ってるのが判り、金属の容器に白い霜が張っていった。
「よし、
そこで維持だ。その温度を継続するんだ」
「ええ、判ったわ
任しといて。」
ナナさんは、正面を向きながら、軽く返事をすると、目を瞑りイメージを統一しているようだった。
「驚いたな、嬢ちゃん。
初回で、成功させるだなんてな。
うちで雇いたいぐらいだ。
さ、貸してくれ」
ゲリィさんは、軽口を出しながら、僕のほうを手を差し出した。
僕は、ブラッドソードを手渡すと、
「来たこともない金属だな、魔鉄みたいなものなんだろうか。
こっちをメインで作ってみたいものだが、残念だ。
ほんとにいいのか、これを使って」
「まぁ、呪われてますしね。
僕が、融合させてもらっていいですか?」
「坊主が
一長一短でできるもんじゃないぞ」
「そうだと思いますが、
それでだめだったら、納得できますし…」
「うむ、そうか。
まぁ、いいぞ。
パーティ全員で作るか、なかなか面白いな。
おう、小僧。
もう、いつ、魔法を使ってもいいぞ。
混ざりあうイメージで放つんだぞ」
「判りました」
僕は、バックから杖を取り出すと、右手に持ちイメージを固めながら、左手で徐々にアダマンタイトの塊に突き入れていった。
「僕は、自分の幸運を信じる……
融合!!」
アダマンタイトの塊は、虹色に輝き、ブラッドソードが徐々に沈んで溶けていき、全てを飲み込み終わると虹色から黒と赤の塊に変わって行った。
横で、ゲリィさんが驚愕の表情を浮かべ、
「な、なんだ、今のは?」
「ちょっとイメージを混ざり合う感じにしたら、あんな色に変わりました」
「そ、そうなのか。
よし、持ち手をつくるぞ。
嬢ちゃん、温度を少し上げてくれ」
ゲリィの指示のもと、持ち手をつくり、徐々に剣の形が作られていった。
「うむ、仕上げはまだだが、剣の様相ではできてるな
ほら、見てみろ」
それは、僕のつま先から腰ぐらいまであるかなり長い片端の剣ができあがっていた。その漆黒の剣の横には、赤い筋のようなものが入っていた。
僕は、受け取ると融合の結果が、成功しているを信じて疑わなかった。
「鑑定」
<<名前:命を削り取る英雄の軽快で荒削りな赤漆黒長剣>>
<<種別:片手剣>>
<<ユニークスキル:【重さなし】>>
<<ユニークスキル:【英雄の確撃】>>
<<ユニークスキル:【生命力奪取】>>
<<価格:???>>
「成功しました。
これで、重みもなく、英雄の確撃と生命力奪取のスキルがついたみたいです。
でも、剣の名前が、すっごい長いんですけど」
僕の後ろで真剣にみていたチャチャさんが楽し気に声をだした。
「それは、すごいです♪。
さすが、ヒビキさんです♪♪」
他の三人は、疲れきっていて、まだ、会話がおぼつかない感じだった。
「それは、凄いな。
魔法はやっぱり、魔法に長けたものがやってほうがいいのかもな」
「それは、そうで、ござるな」
「ドワーフに魔法のイメージはないわよね」
ペテさんに失礼だなと思いながらも、オオストラトさんにもいじられてたっけ。
「で、剣の銘か。
今なら変えられぞ。
どんなものがいい」
「チート剣でいいでしょ。
当たらなくても、攻撃ダメージを与えて、しかもそのダメージ分を回復するんでしょ。
誰でもその剣をもてば、勝てるんじゃない」
「勝利を確定する剣でござるか」
「私は、王子様の剣でいいと思うけどなぁ♪
ヒビキさんの剣でいいんじゃないかしら♪♪」
「どれも、いやだなぁ。
なんか、いいのありますか、ゲリィさん」
「俺も、こういうのは苦手だ。
じゃ、あんまりいいのが、思いつかないから、
王子様であるヒビキの勝利を確定するチート剣でいいんじゃないか」
「絶対嫌です!!」
僕は、全力で断り、名前は変更しないままでいくことにした。




